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№692 おもしろそうだ。オープンーイノベーション

№692 おもしろそうだ。オープンーイノベーション
 OPEN INNOVATION(大前恵一朗訳、産業能率大学出版部)を読み始めた。これはかなりおもしろそうだ。
 
 従来、イノベーションは企業内部で生み出し、企業だけで活用することが利益があげるものとされてきた。著者はこれをクローズドイノベーションと呼んでいる。例えば、ゼロックスでは紙の上にカーボンを電子的な技術によって配列できる技術を独占することでシェアを獲得した。
 
 しかし、時代は変わった。技術の急速な発達、インターネットを始めとした通信手段の発達によって、クローズドな技術は陳腐化しやすくなった。牙の大きすぎるマンモスのように動きが鈍くなり、やがては滅ぶということかもしれない。このような状況下では、むしろオープンな交流を進めることにより、様々なイノベーションの「コミュニティ」を作り上げることが必要かも知れない。交流によって、より有意な、つまり利益の上がるイノベーションを作り上げることができるということらしい。
 
 もちろん、これは単純なことではない。コミュニティの形成は同時に技術の流出につながるからだ。また、せっかくコミュニティを作っても、その中に強力なライバルが参入すればなんのために作ったか分からなくなる。オープンイノベーションの考えでは、いかにニッチを維持し、それを発展させながら、一方でいかにイノベーションを生み出すコミュニティを作り上げるかというところに関心がある。
 
 御社は、コミュニティを作ることによってコミュニティから新たな知識、技術を得ることができるだろう。コミュニティの仲間が新たなマーケットを作り上げてくれるだろう。それは、マイクロソフトが技術をオープンにすることにより、多くの企業がそれを利用して新たなソフトウェアを作り上げて、コミュニティとして市場を拡大したといったことからも読み取れることができると思う。
 
 中小企業では特定の技術、特定のマーケット、特定の地域など制約要素が多い。逆にそうした制約の中で活動できるため生き残れるとも言える。しかし、このオープンイノベーションの考えを応用すれば実におもしろいことができるのではないだろうか。
 
 もちろん、それをマネジメントする「感」のよい、優秀な専門家集団が必要だろう。私の法律事務所のビジネスモデルも何となく整理できるような気がする。