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№657 会社の承継(部下に社長を継がせる。)

№657 会社の承継(部下に社長を継がせる。)
 部下に会社を任せておいて大丈夫だろうか。
 事業承継の方法として、部下に社長を頼む場合に何に注意したらいいだろうか。
 
 顧問先の会社の社長が亡くなり、奥さんが株式を相続した。奥さんは経営能力がないため、番頭格の社員に社長を頼んで会社を持続させることにしたのだが、問題もある。こうした「雇われ社長」の場合、会社を自分のものにしたいという要求はいずれ出てくる可能性があるからだ。
 
 私の考えではやはり最初が肝心だと思う。
 ① 新社長の株主総会に対する忠誠心を明確に意識させる。その際には覚書とか、契約書とか株主に対して何をするべきか明確にしておくことが必要だ。
 ② 会計を明確にして、月次の決算を必ず励行させる。常に会計を開示させて、顧問弁護士、顧問税理士に検討する機会を与える。できたら、弁護士などを監査役に頼んでおくことが望ましい。
 ③ 取締役会、株主総会など法律、定款通りに会議を開催する。
 
 特に、残った妻に対する役員報酬など生活保障を明確にしておくことが必要だろう。しかし、一方で社長になったことの利益というのもないと新社長の意欲をそぐことになる。そのためには次のことが必要ではないだろうか。
 ① 会社の経営理念の継承を明確にする。
 ② 会社の将来像について明確なビジョンを残った家族と協同して作り上げていく。
 ③ 会社の利益が新社長にも分配されることを明らかにする。その際にはルールを明確にしておくことも必要だろう。