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№636 解雇をどのように考えるか

№636 解雇をどのように考えるか
 私が所属している中小企業家同友会では「労使見解」という考え方がある。これは、労使が対等な当事者関係があることを前提に、それぞれの役割を果たすべきだという考え方だ。経営者の役割は、いかなる場合にも経営の責任を負わなければならないということになる。
 
 そんな中、「解雇」をどのように考えるが私たちの間で問題になっている。解雇、とりわけ整理解雇は経営者が社員に対して、経営責任を果たせなかったということになる。つまり、経営者は労働者に対して雇用確保の責任はあったのだから、それを果たせなかったと考えるのだ。
 
 しかし、昨今のような不況下では経営責任の第一義は事業の維持だ。
 人員整理が事業維持のためにどうしても必要であれば止む得ない場合がある。従業員のが会社のために一生懸命やってきてくれたことや、従業員の人生を考えるとそう簡単に解雇はできるものではない。この葛藤は経営者になったものでなければ分からない。
 
 このブログを始めて、多くの関連ブログを知ることができた。不況下、断腸の思いで解雇に踏み切り、その時の葛藤が赤裸々に記載された記事もいくつかある。
 
 急激に悪化する売上にあって、派遣関係を切り、一部パートを解雇しする一方で、残ったパートを正社員化して不退転の決意を示した経営者もいた。それは、これ以上解雇しないう背水の陣を敷いたようにもみれる。
 
 苦しい経営状態を示して辞めてもらい、従業員と一緒になって泣いたという経営者もいた。
 解雇は時として、経営者として責任を果たすためには止む得ないことなのだ。経営責任は果たせなかったが、従業員には誠実に向き合い、雇用を維持できなくなったことの必要性を説明するほかはない。