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№628  ゴミとくず

№628  ゴミとくず
 ゴミは勝手に捨ててはいけない。ある業者がいすとか机とかを公園に捨てたために逮捕されてしまった。慌てて、奥さんが私の所に相談に来たのだがしかたがない。この社長は刑罰に触れる以前に、社会常識がなかった。
 
 さて、ゴミについては、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」で規制されている。かつてはゴミは清掃の対象であり、街を清潔にすると言う考えで処理されていた。法律の名前も清掃法という名前だったが、昭和45年に「廃棄物」として、みだりに捨てられないようコントロールするという考えになった。
 
 最初は捨てるものが悪いというので規制されているのだが、徐々にその範囲は拡大して、「排出者責任」という考えが出てきた。つまり、廃棄物を処理する者を規制するだけでは違法を承知で、お金儲けのために捨てる者が後を絶たないなめ、そもそも処理を委託する者にも責任を認めていこうという考え方が出てきたのだ。廃棄物はマニュフェストで管理されるようになっている。
 
 さらに、最近では「拡大生産者責任」と言われる制度もできている。これはそもそも製造する過程でゴミが出ない、リサイクルできるようにしておくという考え方で、「拡大」とは、本来の廃棄物ルートよりさらに拡大して責任を認めていこうという意味だ。例えば、自動車を作るときにゴミが出ないように、リサイクルしやすいように製造する必要があるし、流通した商品に対してゴミとならないよう回収する責任も認めようという風に考える。
 
 ともかく、ゴミは厳しく規制されており、公園なんかに捨てたりするのは当然刑事責任を問われてしまう。もっとも、ゴミそのものの定義はかなり難しい。廃掃法は一般廃棄物、産業廃棄物に分けて考えている。一般廃棄物は行政の責任で処理するものとされ、産業廃棄物は事業者の自己責任で処理しなければならない。一般廃棄物は何かというと、産業廃棄物でないものと定義されている(2条1項2号)。なんのこっちゃ、って感じだ。例えば、事業系一般廃棄物という言葉があるが、これはオフィスなどから出る紙くずなどが含まれる。ややこしい。
 
 ちなみに、ゴミはおよそ廃棄物として利用される言葉だが、クズという言葉は、産業廃棄物の中で使われている。