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№614 根保証

№614 根保証
 根保証契約というのは、将来発生する不特定の債務を保証する契約である。証書貸付、手形貸付など、いろいろな債務が考えられるが、将来の債務を全て保証しようというものである。この根保証、従来から問題の多い契約であるが、民法改正により極度額(保証の上限)が決まっていない根保証は無効になるとされた(民法465条の2)。
 
 保証人にとって根保証というのは不安定要素が多い。主債務者から、「もう少しで完済だから我慢してくれ」と言われて我慢していたら、いつのまにか、また借りてしまって借金が減っていないということは珍しくない。保証人にとって見れば、いつまで続くのだという不安を強いられることになる。
 
 あるいは、最初は500万円ぐらい借りると聞いているのに、いつのまにか2000万円ほどの借金を連帯保証させられたななんてこともある。かつて、商工ローンはこの根保証契約を悪用して、片っ端から保証人を作らせ、恫喝を加えて保証人に支払わせるなどという商法を展開していた。
 
 民法は極度額(限度額)の定めのない根保証は無効であるとしている。この極度額は、元本、利息、損害金全部について定めなければならない(民法388条の3)。それは、元本、利息、損害金について単なる割合ではなく、具体的な金額をもって定めなければならない。
 
 例えば、元本のみ極度額を定め、利息、遅延損害金についてそれを付すると書いてあるだけでは具体的金額を定めたことにはならないから無効になる。実際、元本だけが定めてある根保証契約は無効とされた(H21.11.24判時2085、124頁)。