名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

№578 経営相談、事業再生

№578 経営相談、事業再生
 最近、負債の相談が増えている。
 ある会社では複数の事業部門があって、それぞれに収益の減少が生じている。当然、全体の収益も減少傾向にあるから経常利益も減少することになる。それまでうまくいっていた返済も、大きな重しとしてのしかかってくる。
 
 事業としては古くから続いているため顧客は存在する。売却するノウハウも蓄積している。将来を見越して新規事業を興し、それぞれうまくいっていた。昨今の不況で売上げは急激に低下したが、傍から見ればうらやましくなる売上げは確保している。
 
 この会社の問題点は収益減少の原因が徹底して分析されていない点だ。
  つまり、売上げの急激な低下に対し、事業部門ごとの限界利益を検討して、収支の状態がどうなっているか分析しきっていない。事業部門と言っても完全に人や設備が分かれていないため、どこで、どのように損をしているか、どこで、どのように儲けているか、削るべき人員はどこか、つぎ込むべき人員はどこか、といった基本的なところがぼんやりしている。順調な時はよいのだが、このような不況下では目隠しして荒波を航行するようなもので、あぶなっかしい、社長もそれが分かるからむやみに不安になる。
 
 私は経営分析の専門家ではないが、話を聞いていると問題点は分かる。教科書通り整理していけば、ある程度の整理はできる。ある程度の整理ができれば、選択するべき戦略はできる。戦略ができれば、選択するべき行動が決まる。行動が決まれば、現実に動くように常に社長のモチベーションを維持するための協議を重ねる。そうすれば前進する。
 
 これらは別に難しい作業ではない。なぜなら、全ては社長が、そして会社がやる作業だからだ。つまり、会社が持っている能力が、教科書に従って整理されたに過ぎない。よく経営コンサルが自慢げにいろいろ言うが、教科書的な整理の範囲では彼らの役目は実際には小さい。
 
 専門家の役目は教科書には出ない点にある。つまり、経験的な判断だ。
 例えば、事業部門を独立させて将来に備えるとする。しかし、そんことをしたときの銀行の反応はどうだろうか。銀行からの信頼を失えば、たちどころに会社は倒産する。銀行への告知のやりかた、銀行の反応に対する分析、別の銀行の選択などこれはシロウトにはできない。