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№575 わいせつ事件

№575 わいせつ事件
 こんな記事がある。 

元スケートコーチが無罪主張=教え子暴行で初公判-名古屋地裁
2009年8月20日10時53分配信 時事通信
 名古屋市のスケートクラブに通う女子中学生=当時(13)=に暴行しけがをさせたとして、強姦(ごうかん)致傷罪に問われた元スケートコーチ酒井康資被告(58)の初公判が20日名古屋地裁(佐々木一夫裁判長)であり、同被告は「わたしは無罪です」と起訴内容を否認した。
 弁護側は冒頭陳述で「女子生徒は酒井被告にこびるようなしぐさをし、嫌がる様子はなかった」と述べ、同意の上の行為と主張した。

 13才の少女を姦淫しておきながら、「同意」というのはどういうことだろう。と世間の人は思うに違いない。潔く罪を認めるべきだと怒りが加わる人も多いことだろう。でも、実際に、こういうことを言う被告人は多い。
 
 私は現在では刑事事件を全くと言っていいほどしないが、弁護士になって10年ぐらいはやたらとやっていた。しかし、わいせつ事件や強姦事件は何回かやったが、途中でやるのを辞めてしまった。加害者に対する怒りが先行してとても弁護できないからだ。だから、こうした事件を弁護できる弁護士は実に職業意識が高く立派だと思う。
 
 それはさておき、実際の強姦事件やわいせつ事件では激しく抵抗する女性を無理矢理押さえつけるという現場ばかりではない。スケートコーチ事件のように、上下関係を利用したり、女性の気の弱い性格に乗じたりする。
 
 密室の中で恐怖している女性ははっきり「いや」とは言えない場合がある。そうすると、何を勘違いするのか、犯罪者は本人が自主的に服を脱いだとか、わいせつ行為に応じたと思ってしまうらしい。さらには、被害者もこうしたことが好きなんだなどと思い込んでしまう。おバカなやつなのだが、性欲というのはそんな妄想を作ってしまうようだ。
 
 スケートコーチの事件では「同意」を主張している訳で、こんなことはあるものかと笑ってはいけない。企業におけるセクハラというのは相手が黙っていれば「同意」だと勘違いしたり、相手も自分のことが好きで許してくれているなどという、はたから見れば、信じられない思い込みの中で発生する。テニスコーチはとりわけ変だが、他人事ではない。御社の状況は大丈夫だろうか。