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№492 管理は人を生かす道具

№492 管理は人を生かす道具
 ドラッカー「マネジメントⅡ」も徐々に読み進めている。Ⅱは具体的になるためちょっと難しくなっている。そうは言っても,抽象的な概念が登場するため、よく分からない時がある。日本語訳は適切なのだろうが、どうしても原典にあたってみたくなる。
 
 例えば、「仕事、労働、働き手」という日本語訳があるが、原典では「Work, Working, Wroker」と使い分けている。つまり、「仕事」という、結果、働いたことの成果を「Work」、働くという動詞を「Working」、働く人は「Worker」ということになる。
 
 さて、ドラッカーによると仕事はプロセスであるという。仕事の生産性を高めるためにあらゆるプロセスに管理(control)のしくみを取りれなければならないという。
 
 この管理についてドラッカーの意味深な言葉がある。
「業務のプロセスを管理する際の対象は、あくまで仕事であって働き手でない。」
「管理は働き手のツールであり、働き手がツールに使われるような事態は避けなくてはいけない。」
 
 ドラッカーによると、管理は「経済上の原則」であり、「倫理上の原則」ではない。という。つまり、「仕事」という成果をあげるために、もっともよい作業上のプロセスは何かというのが管理というのである。
 
 たとえば、人を管理するためにやたらと報告書の作成を義務づけるのは誤りである。報告書のために作業時間がかかり、さらにモチベーションも下がる。むしろ、成果の品質を実現するために最小限に管理コストを押さえる必要がある。人は無駄な労力から解放されて仕事に避ける時間を増やすことができる。会社も管理コストが削減されていく。
 
 ドラッカーで重要な考えは「結果」だ。目標を定め、結果を生み出すために「管理」をどうしたら最小化できるかということが追究課題である。だから、管理の対象は「仕事」という成果そのものだ。さらに言うと、管理するとは社員の自由を奪うのではなくて、社員が効率よく自由に活動できるよう配慮するということになる。
 
 管理の対象は「働き手」ではない。「仕事」だ。社員の働きが最大限の成果をを生み出すための最小限のコントロールは何かという点こそが重要なのである。ここに、社員の達成感や、仕事への情熱の契機がひそんでいる。