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№482 管理職の深夜労働

№483 管理職の深夜労働
 管理職には残業はつかない(労働基準法41条2号)。しかし、最近は管理職もかなり現業を負担しているから、常に残業代がつかないという訳ではない。経営者たるもの名ばかり管理職で経費を削減しようなどという姑息な発想をもたないことが大切だ。
 
 それはともかく、管理職であっても深夜労働をした場合には深夜割増賃金を支払う必要がある。
 労働行政の分野では管理職であっても、深夜割増賃金を支払わなければならないとしていた(昭和63年3月14日労働基準局長通達150号)。労働法の学者の間でもことのことは通説になっていた。
 
 私たち弁護士は、条文の構造をやかましく言う。
 労基法41条は管理職には労働時間、休日、休息に関する規定は適用しないとした。そうなら、深夜割増賃金を定めた労基法37条3項は適用がないのではないか。
 
 残業については管理職だけでなく「牧畜業などに従事する者」も適用されないとしている。しかし、深夜割増賃金については、「牧畜業」従事者には適用しないとしていて、管理職については定めていない。だから、条文上管理職には深夜割増賃金の適用がある。実際、管理職だからって深夜まで働かされたのではたまったものではない。
 
 ややこしい話だが、結論はこうだ。
 ① 管理職には深夜割増賃金を払わなければならない。
 ② 労働者の所定労働賃金が、労働協約就業規則などによって、一定額の深夜割増賃金を含む趣旨であれば、特別に払う必要は無い。
 
 下級審では判断が分かれていて,実はこの点はっきりしなかったが、最近最高裁は上記①、②の結論を認めた(最判2、H21.12.18判時2068号159頁)。