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№479 戦略的プラニング

№479 戦略的プラニング
 ドラッカー「マネジメント」の原書が届いた。ああ、うれしいと思って読み始めたら、私の持っている「マネジメント」(日経BP)とは異なる。よく調べたら、ドラッカーは「マネジメント」という題名の本を少なくとも3種類書いている。中身はたいして違いは無いのにとは思うし、題名ぐらい変えて出版して欲しいな。
 
 さて、日経BPの「マネジメントⅠ」もようやく終盤にさしかかった。戦略的プランニングにはおもしろいことが書いてある。
 ① 現在や未来を描き出す技巧(経営上のモデルの作成、シュミレーションの設定、統計的技巧など)の寄せ集めではない。
 ② 未来の予測ではない。リスクを伴う現在を扱うのであって、不確実な将来を扱わない。
 ③ 将来の判断を扱わない。将来を念頭に置きながら現在の判断を行う。
 ④ リスクを取り除くことでもないし、最小化することでもない。リスクは避けられず、リスクを冒してでも、取り組むかどうかを判断する。
 
  戦略的プランニングとは「手法ではなく、責任である」という。ここで言う、責任とは組織の行動と結びついている決定過程である。「将来を念頭に置きながら現在の判断を行う。」のであるが、それは何をなすべきか、成果を得られるか、成果を得られたかとうい判断を行う。それが責任ある決定であり、行動である。
 
 このように戦略的プランニングでは将来を見据えた、現在の決定を行う作業であるから、将来像を経営者が描くことが不可欠である。これが「時間軸」を考えたプラニングであるという。時間軸は長期、短期と一応の区別は存在するが、全ては現在を決定するための将来的なプランの区別でしかない。自社の事業は何であるか、将来何になるか、そのためには何を捨てるか、こうしたことを問われた結果として将来の目標が存在する。
 
 戦略的プランニングでは時間軸を扱うが、「私は消防士になりたい」という子供の夢を扱うものではない。プラニングは合理的でなければならないし、実践的であり、検証されなければならない。プランニングは組織的な意思を決定し、行動し、行動の成果を図り、図った結果を決定にまた実践に反映させるというプロセスを扱う。だから、プランニングにおける「時間」とは、有効性が検証され、「初めから正しかった。」と結論づけられることのできる期間である。
 
 戦略的プランニングの意味は、たくさんの情報、たくさんの技法、たくさんの経験の中で下す科学的決断である。この決断は企業分析や、将来予測の様々な技巧の寄せ集めではない。この全体的決断の意味は、芸術的な直感に基づく,総合的な感性的判断に似ている。このたくさんの情報を得た上での、直感的判断については、経営に立ち向かった者でないとわからないかもしれない。
 
※ Strategic planning does not deal with future decisions. It deals with the futurity of present decisions.