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№478 顧客、利益、価値、そして私の事務所 (2)

№478 顧客、利益、価値、そして私の事務所 (2)
 事務所の岐路にあって、ドラッカー流に私の事務所を見直してみたいと思う。
 ドラッカーは「自社の顧客は何か」の問いが重要だという。それは自社の活動がどのような人たちにまで関係しているかを検討し、その「関係」の中に顧客がいるかを探る作業でもある。
 
 その例として、ドラッカーはカーペット業界の発展を紹介する。カーペットは直接購入する顧客もいれば、建築業者が建物を建てる際にカーペットを選択することもある。カーペットは建築業者を通じて顧客に販売される。その場合の顧客は建築業者も含むとするのである。事業者は最終ユーザーである消費者の要求だけでなく、建築業者の要求も満たす必要がある。
 
 私たちの顧客は中小企業家だ。
 事務所との中小事業者の関わり、既存の顧客の紹介を受ける場合、中小企業団体や税理士さんなど企業の要となっている人からの紹介、既存顧客にあっても業界の要になっている人からの紹介もある。広告宣伝によって直接事務所に訪れる人もいる。
 
 弁護士はローカルな存在だ。
 私のようなタイプの弁護士の場合、私たちの顧客は地域に存在する。法律事務所は思われているよりずっとローカルな存在であるというのが私の印象だ。このローカルというのはウェブ社会も含まれている。
 
 私たちの顧客は質の高いサービスだけでなく、弁護士と交流することによって安心や安全を求めている。その安心や安全の本質は、危機にあって、社長が自らの意思で適正に判断できる、行動できるということにある。それは、弁護士との人間的な交流の中で生まれる。
 
 関係の形成はどのように作られるであろうか。
 弁護士との関係で、最大のジレンマは、今すぐ欲しいわけではないが、必要なときには信頼関係ある弁護士を確保しておきたいというものである。小さな企業では、顧問料はもったいないと思っている。信頼関係を形成するために必要な時間を捻出するのがもったいないと思っている。できたらゴルフ仲間に弁護士がいれば良いいなと思っている程度ではないかと思う。日常的には弁護士の需要はその程度なのだろう。
 このギャップを埋める作業が求められている。