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№446 機械納入業者は注意してください

№446 機械納入業者は注意してください
 機械によって事故が起こる。
 私の経験した事例でも、包装機械に指が挟まれ切断にいたったケースがある。被害者は機械が悪いと言って訴えてきた。しかし、動いている機械に指を入れる方がおかしい。これはこちらが勝利した。
 
 東京地裁の事例であるが、そば店の製麺機に指が挟まれて切断した事例がある。これは製麺機の製造メーカーが責任を負った。メーカーは有限会社となっているから、中小企業なのだろう。
 この事例は、主電源を切らなくても、カッターが停止する仕組みがあった。しかし、カッター部にたまったカスを取り除く作業中にカッターを動き出してしまったのだ。
 
 この機械はいろいろ欠陥があったようだが、「本件製麺機の構造を前提にするとすれば」「自ら又は販売業者を通じて、ユーザーに対し、カス取り作業時に必ず主電源スイッチを切るよう的確に右危険の存在を指示警告」する義務があった判示する(東京地裁H4.11.30判タ834号150頁)
 
 もう一つ。
 
 カビキラーが噴霧式容器に入っていたため、使用の結果、主婦が呼吸困難など急性被害をこうむった事例である。 判決は泡タイプにすればよかったとした(東京地裁H3.3.28判時1382号21頁)。
 
 注目点は説明書きだ。
 米国の同製品には、心臓病、ぜんそくなど人体被害についての記載があるのに、日本製には無かった。判決はこの点の問題点も指摘する。
 
 製造機械などは危険と隣り合わせだ。中小企業とはいえ、メーカーは細心の注意が必要であるともに、その使用説明もきちっとしておく必要がある。
 そのためには、メーカーは常に現場に出かけ、ユーザーの利用状況を確認しておく必要があるだろう。ユーザーの立場に立ちきる姿勢が不可欠なのである。