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№434 会社分割と事業譲渡

№434 会社分割と事業譲渡
 会社分割や事業譲渡は企業再編成のための道具だ。企業再編成というのは「組織」が動くためにいろいろ応用されている。例えば、事業承継だ。子供、従業員に事業を引き継がせたいときに利用する。

 ここのところの不況では、債権を切り捨てる手法として利用される。つまり、根雪のような長期負債を残して、事業のみを新会社が引き継ぐ手法だ。腐った巨木から、若木をとって、新たに植えるようなですね。巨木はそのまま滅んでも、若木は育つかもしれない。

 会社分割は1つの会社を2つに分けることを言う。これがどうして債務整理に利用されるかというと、2つに分けるときに、片方に債務を残してしまうことができるからだ。このことは事業譲渡でも同じだが、以下の違いがある。

【お金の移動のメリット】
 会社分割の場合、旧会社(分割会社)から「事業」が離れていく。その分、会社は損をしてしまう。事業の売却の場合は、売買だから事業の対価を旧会社は受け取ることになる。ここでは対価を適正に時価評価して、金員を支払わなければならない。

 会社分割の場合は、「事業」を受け取った会社は、株式などを旧会社に渡せばよい。しかも、それは簿価で処理することができる。このメリットは大きい。企業は分割前に帳簿を整備して適正化して分割することになる。

【包括的な承継のメリット】 
 会社分割の場合は、会社そのものが分かれてしまう。だから、様々な契約上の地位が、まるごと移る。許認可の関係や、公共工事上のランキングなども承継しやすい。でも、個々の許認可などによって取り扱いがバラバラだから必ず確認が必要だ。

 事業譲渡の場合は、「事業」という財産の売買だから、契約上の地位がそのまま移転する訳ではない。相手方の承諾が必要だ。許認可関係は移ることはない。

【透明性のメリット】
 会社分割の手続きはけっこういい加減だ。しかし、一応、広告したりいろいろあるため、会社法が要求する程度には透明性が確保されている。つまり、公正らしさが一応ある。秘密裏に行われる事業譲渡する場合に比較すれば、後ろめたさがだいぶ違う。そして、債権者からの法的追及についてもかなり耐えることができる。

【税法上のメリット】
 法人税上のメリット、事業譲渡の場合とは課税基準が異なるメリットがあるが、現在勉強中だ。