名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

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№413 あなたは社長なのだから。あきらめないで。

№413 あなたは社長なのだから。あきらめないで。
 私は顧問弁護士は必要なものだと思う。
 日頃から、弁護士を選んでおき、本当に相談に乗れる関係を作っておく必要がある。

 得意先や下請け関係に迷惑をかけたくない。今の内に事業をやめるかどうかの相談を受けた。痛々しくて言葉もない。なぜ、もっと早く弁護士に相談しなかったのか悔やまれる。

 「先生、1億円あれば迷惑かけないですみますかね。」
  社長は生命保険をかけている。
 「どうして、こんなに借金が膨らんじゃったんだろう」
  社長は頭を苦しそうに頭をかきみだす。
 「要するに、経理がずさんだったんですよ。」
彼は吐き捨てるように言った。

 この会社はけっして倒産するような会社ではない。一昨年までは好調だった。その間に無借金経営をめざすべきところを、銀行に甘えて長期債務の処理を怠ってきたのだ。自宅も購入し、住宅ローンも組んだ。そこに、金融不況が襲ってきたのだ。今日までよく持ちこたえている。

 こうした相談がある場合には、まず社長を励ますところから始まる。ゆっくり社長の話を聞き、けっして追い詰めない。徐々に問題点を整理していく。事業をたたむことも選択肢の一つだが、事業をたたむ必要のないことも指摘しなければならない。社長は徐々に冷静さを取り戻し、生きる勇気を持ち始める。

 初めての相談なので会社の実情はよく分からない。
 しかし、この会社は金融機関に対する評価を誤っているように思われた。メイン銀行がこれ以上の条件変更に応じないと思いこんでいるところに問題がある。また、保証協会に対する評価も誤っているように思われた。

 つまり、銀行、保証協会にはもう縁が切られてしまうという意識が強すぎる。これまで相当の交渉を重ねてきたせいだろう。しかし、今は情勢が違う。1年前と今とでは全く様相が異なる。銀行だって、殺して債務を損金にするより、生かして回収するほうがいいに決まっている。

 当面、金融機関との交渉を再開して、モラトリアム、再融資を交渉する。私の感じではたぶんできるだろう。
 次に、2ヶ月ほどかけて、積み重なった長期固定債務を整理する大鉈を振るう方策に検討し、最終的に生き残りをかけた勝負にでる。これが大きな方針だろう。

 弁護士顧問契約は必要だ。早い段階での相談と、経営の健全化はきわめて重要だ。