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№408 死亡退職金(中小企業法務)

№408 死亡退職金(中小企業法務)
 就業規則などで退職金が決められている場合には、退職金は支給しなければならない。なんらかの経営事情で退職金を減額したり、支給しないことにしたりしていた場合にはその旨きちっと手続きを踏まなければならない。

 社員が退社したとき、突然退職金を請求されたりすることがある。よく考えると、放置されていた就業規則に退職金規定があって、それに基づいて請求している、なんてことがある。うちではもう退職金を払わないことにした、と言ってもなかなか対抗することは難しい。

 ところで退職金の法的性質はいろいろ議論があるが、基本的には賃金の後払いと考えて良いように思う。功労報償、社会保障的性質などいろいろ説がある。しかし、生前の退職金の法的性質については、余り重要な問題は生じないように思う。

 問題は死亡時退職金の場合だ。
 企業によっては死亡時退職金を誰が受け取るか定めていない。社長の裁量で渡される場合もある。少なくない企業は労働基準施行規則を基準にしている。この規則は民法の相続の規定と異なる。

 受給者が民法の規定と異なる場合、たとえば、内縁の妻が受け取る、同居の親族から優先して受け取るというような場合は、退職金の規定によって生じる新たな請求権ということになるだろう。この場合は相続とは関係なく、規定によって受給できるということになる。

 何も定めていない場合には非常に難しい。やはり相続財産と同様に考える外はないように思う。
 しかし、この場合、企業にとってはだ誰に払って良いのやら分からない場合があるし、相続人間でもめてしまった場合にはそれに巻き込まれ非常に困る。もし、あなたの企業が何も定めていなければ、定めておくことをお勧めする。