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№357 中小企業基本法に対する評価

№357 中小企業基本法に対する評価
 平成11年中小企業基本法は抜本的に改正された。当時の中小企業庁の説明によると、次のようになっている。

【「従来は、経済の二重構造論を背景とした非近代的な中小企業構造を克服するという「格差の是正」が政策目標であり、いわば「脱中小企業論」。】

これが、
【多様で活力ある中小企業こそが我が国経済の発展と活力の源泉であり、中小企業の自助努力を正面から支援する。】

 当時グローバリゼーションが進んでいった結果、大企業は他国の中小企業に対しても下請けに出したりすることができるようになった。企業にとって系列は重荷であるという認識も出てきた。
 
 一方で、中小企業自体も徐々に実力を付け始め、独立性や自立性を認めても十分企業を維持、発展できる状況が生まれてきた。
 こうした時代の要請に応えて、中小企業基本法が改正されたのだ。

 新法の理念は「独立した中小企業の多様で活力ある成長発展」であるが、これはこれで正しい路線だと思う。中小企業は独立し、国民の多様な要求に応える存在と位置づけることは正しい。
 
 しかし、昨今の不況を見るとき、中小企業がつぶれていく。中小企業は大企業にとって景気の調整弁のような役割が強いられた。今回の不況の中にあって、改正中小企業基本法の理念が試されていると言える。

 それは、企業の自立性を強調したのが、自己責任を一方的に押しつけ、企業を切りやすくするための政策だったのか、不況下にあっても自立できる企業を目指す政策だったのかの検証が必要だと思う。

 私としては、しばらくはこの中小企業基本法の改正時の理念がどんなものであったか検討していきたいと思っている。