名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

№356 たまには、中小企業白書

№356 たまには、中小企業白書
中小企業家たる者、たまには中小企業白書に目を通すのも悪くないかな。
大部分は統計資料であるため、読んでいて途中で根気が続かなくなる。
というので、とりあえず、概略だけ読んでみた。

http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/index.html 

2009年中小企業白書は急激な経済状況の悪化を受けたものとなっている。
テーマは「イノベーションと人材で活路を開く」となっている。

昨年末から今年の3月ころにかけて、経営者はいてもたってもいられなかった。何とかしなくっちゃという焦りと、恐怖に襲われた。ともかく、思いつく対策は何でもやり、ともかくも倒産を免れている。今は、あの恐怖の時に考え出したことを粛々と実行し、耐えるのだという気持ちだろう。

白書のテーマは確かに正しい。不況下、企業は企業の内と外を固めなければならない。イノベーションは外に向かった努力であり、人材は内に向かった努力だ。

白書ではイノベーション
① 新製品の開発、研究開発費の維持と売り上げの向上との関係をとらえ、「厳しい状況下でも、将来を見据えた研究開発活動に努力している姿」として評価している。
② このイノベーションについては、社長のリーダーシップ、ニッチな市場進出、「環境、バイオ、IT、医療・福祉等の成長分野」への進出など掲げている。

特に興味深いのは、事業方法のイノベーションだ。
白書では「顧客ニーズの把握のため、中小製造業者がサービス分野(小売・卸売・サービス業)への参入を通じて多角化戦略をとる動きも見られる。」としている。

白書ではこんな風にも記載されている。
「サービス分野へ参入する理由としては、「事業の多角化の一環」という理由に次いで、「自ら顧客へ販売する手段を持つ」という理由が多く、また、販売手段の獲得やニーズの汲み上げを目的として参入した企業はヒット商品を生む傾向。」

株式会社コメットカトウ
主力商品であるスチームコンベクションオーブンについて、料理店等のユーザーを対象とし、同社独自に作成した料理のレシピを提案するセミナーを年間100回程度開催し、その中で把握した「顧客ニーズ」を商品開発に活用。

株式会社マスカル(北海道)
同社の瓶詰めプリンは、卵黄の代わりに、地元農家と連携して北海道産の米粉を使用。従来、瓶詰めプリンは、日持ちがしないため、道外への販売が難しかったが、品質を落とすことなく冷凍する技術を自ら開発し、全国での販売に成功。