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№ 340 ないと思えばなくなる?

№ 340 ないと思えばなくなる?
 あると思えばある。ないと思えばない。この世のことはみんながあると思っているからある。「ある」というのはみんなの約束事でしかないのではないか。みんながないと思えば世界はなくなる。

 小学生のころ、こんなことを本気で考えたことがあった。本当にないと思えばなくなる。そのとき、私はエスパーのように壁を通り抜けて突然現れることができるに違いない。「眼の前の壁はない」と信じれば本当になくなるかもしれない。そう思って、眼をつむり、思い切ってぶつかってみた。案の定、私は壁にぶつかってしまった。

 でも、「ぶつかったのは本気でないと思ってなかったに違いない」と考えた。心のどこかに壁があるという気持ちが抜けなかったのだ。そこで、心を新たにしてもう一度ぶつかってみた。でもやっぱり、ぶつかった。

 本気だったからかなり痛かった。私は真剣に反省した。
 まだまだ修行が足りない。私はもっと修行しなければならない。私は反省する場所を完全に誤っていた。信念を曲げなかったのは偉いかもしれないが、行動はバカだよね。

 しかし、壁を通り抜けているときに、壁のことを思い出したらどうなるだろうと考えたら急に恐ろしくなった。私は壁の中に混ざってしまって壁男になってしまうではないか。以来、私はエスパーになる夢を捨てた。

 「心頭滅却すれば、即ち、火もまた涼し。」、何事も心の持ち様だと、快川和尚は言ったが、信長に焼かれてしまった。デカルトは「我思う故に我あり。」と言っていた。こんなことはうそだ。火に燃やされてしまえばやっぱり熱い。余計な観念があれば、それにふりまわされて、本当のもの、現実の真の姿を見失う。だから、私は心を無にしたい。天に即して、私を去る、やはり、漱石先生は偉大だ。

 現実は常にあり、心持ちで無くなることはない。観念論はまちがっていて、唯物論は正しい。現実に向き合い、トライし続け、現実を理解してそれを変えていく。このような姿勢がリアリストというものだろう。

 中小企業家はリアリストだから、壁がないと思えば無くなるなどとは思わない。私たちの考え方は壁があるなら乗り越えようというものだ。壁があるなら壊してしまえばいいというがの私たち流だ。乗り越える必要がない壁は別に無理することはないとも思う。