名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

№336 ホールディングス

№336 ホールディングス
 持ち株会社というのは他の会社を支配する目的でその会社の株式を取得する場合を言う。少数が、多数の会社を支配するもので、戦前の財閥はその例だと説明される。コンツェルンですな。

 日本では三井、三菱、住友、安田などの財閥があった。ちなみに、コンツェルンというのはドイツ語だそうだ。財閥が解体し、独占禁止法持ち株会社を原則として禁止していたが、2005年ころから解禁され、我が国でもたくさんのホールディングスが生まれた。今度は英語ですね。

 持ち株会社の作り方はいろいろある。その目的もいろいろだ。

 ところで、最近は中小企業世界でも「ホールディングス」が現れている。特に、不況で倒産企業が増えてきているため、それを狙ったホールディングスが登場しているのは興味深い。私はまだ、否定的なイメージがあるが、そうでもないらしい。
 
 これは、倒産しかかった企業、倒産企業を助けるということで、債務整理や破産、民事再生を行う。一方で、その企業が収益あげる企業であると見ると、ホールディングスがその企業を買い取るのだ。

 実際のところ、企業が倒産したのは経営者に能力が無かったり、長年にかけて蓄積した債務の重圧に耐えられなかったりするのが原因だったりする。そんな場合は、会社自体は悪くないのだから、ホールディングスの優秀なスタッフが直接経営に乗り出したり、経営に介入することで見違えるほど業績が改善することがある。

 確かに、10億円ぐらいの固定負債があって、働いても働いても銀行に吸い取られていくという構造がある場合は実は優良企業だったりする。なぜなら、長年固定負債をまじめに払えたということは、それだけ利益が出続けてきたということだからだ。長期負債は資本と同じで、利息は配当と同じということか。しかし、配当は必ずしも強制されないが、利息は強制される。

 そんな会社から事業だけ買い取り、抜け殻は倒産させれば、必ずもうかる。社長をホールディングスの傘下に入れて、そのまま働いてもらえばよい。その会社が儲からなければ潰せばよいのだ。

 昔は、こうした整理は「会社整理屋」などと呼んで、私たち弁護士はゴロツキのように思っていた。実際、こうした手合いは、脱法、違法行為を平然と行っていた。会社に残ったわずかなお金(わずかと言っても1000万円とか、何千万円ということもある。)を吸い取っていくのだが、すれすれ行為のリスクの対価みたいな顔をしていた。

 だが、最近はそうではない。しかし、私が危惧するのは、こうした債務整理ホールディングスは、「金」の論理で会社や人を支配する傾向にあることだ。むき出しの弱肉強食を是とする傾向にはないだろうか。