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№312 顧問弁護士

№312 顧問弁護士
 中小企業にとって顧問弁護士というのはやはり贅沢な領域に属するように思う。
 小企業の場合,月5万円程度の顧問料でも,すごくもったいない気持ちでいるだろう。やはり,顧問弁護士が頼めるというレベルになるためには,そこそこの売り上げがあって,5万円程度は企業全体の会計にとって負担に感じない程度の大きさが必要なのかもしれない。しかし、中小企業に弁護士は不要ということはない。私の事務所はここのあたりの要求に応えることはできないかといろいろ考えている。
 
 さて,法律顧問の役割はなんと言っても信頼できる弁護士を日常的にあらかじめ確保しておくという点にある。その弁護士がどのように優秀であっても,クライアントはすぐには依頼しない。そこには何らかの信頼関係というものが必要だ。医療も信頼関係が必要だが,任せきる度合いが違う。弁護士の場合,長期にわたることが多いし,企業が秘密にしたいことまで踏み込まなければならない。

 たとえば,何か問題が起きたときに,弁護士を探さなければならない。そのときに,知り合いの「つて」,それがなければホームページ,電話帳,弁護士法律相談と探すのだろうが,それ探せるだろうか。そうして探した時の,弁護士の当たり外れは大きい。さらに,企業のこと,事件のことをはじめから説明しなければならない。担当者が行くだけですむのか,社長まで出向かなければならないのかの問題もある。

 法律顧問の役割にはもっと積極的な役割がある。弁護士は戦略的に企業に関わる場合がある。

 たとえば,会社の部門を分社化して,新しい会社の経営を任された場合はどうか。新会社の社長としては自立した経営を行いたいと思うだろう。利益を吸い取られるような構造がある場合にはそれを何とかしたいと思うだろう。こうした自立に向けた戦略を立てて,対抗していくためには法律知識は不可欠だ。

 あるいは,商品開発や営業パターンを確立したときにそのノウハウをライバルから守らなければならない。あるいは,社員が独立してノウハウを盗んでいくこともあるだろう。情報管理やコンプライアンスの構築もあるかもしれない。

 最近の問題で言えば,事業再生,事業承継は弁護士の重要な領域だ。

 こうした,事業の特定の方向に向けて会社とともに戦略を組み立てていくというのが,戦略的な法学であり,顧問の重要な役割でもある。