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№309  ある運送業経営者

№309  ある運送業経営者
 最近、中小企業家同友会での集まりがうちの事務所でよく行われる。この秋に催し物が計画されていてその準備のためだ。

 集まりは楽しい会になっていて、異種業種の経営者同士の交流を楽しんでいる。会議が終われば、いつもいく韓国料理店でいろいろな話題が出る。
 
 そんな中、ここ最近の不況も話題になる。ある運送業の女性経営者の会社では昨年10月ころから急激に売り上げが減少して、夜も眠れなかったそうだ。夜、寝れなくて、どんな姿勢をしても苦しいものだから、彼女は起き上がって、夜中に正座していたそうだ。

 この眠れない、あがくような焦り、不安、恐怖というのは経営者でなくては分からない。この会社は売り上げ減少のあまりのひどさに、1月までには、様々なリストラを断行し、3月ころまでには急場の融資でつないだそうだ。解雇の時はつらかったそうだ。最近も苦しい状況だが、何とかなってきた感じらしい。こうして懇親会を楽しむ余裕はある。

 この経営者のえらいところは、転んでもただでは起きないところだ。この会社は乗用車を全国に配送する業務だが、不況の中、海外の事業者との提携関係を模索している。余っている自社スペースに倉庫業のようなものを構想している。地域とのつながりも見直し、新たな顧客開拓、事業拡大を狙っている。

 今回の不況では、経営者たちはハンマーで殴られたようなショックを受け、ある時は絶望し、あるときは焦って動く。こんな体験はもうしたくないだろうが、残念ながら経営者である限りは避けられない。経営者の雑草のようなたくましさには人間的な感動がある。