名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

№281 ワシントンDC(温暖化対策に対する企業の状況)

№281 ワシントンDC(温暖化対策に対する企業の状況)
 地球温暖化問題の調査のためにワシントンDCにいる。
 オバマ政権は地球環境問題に相当力を入れていることは我が国でも報道されているとおりであり、地球温暖化問題を新たな経済構造変革の課題と位置づけていることはこちらにくるとよくわかる。地球環境問題は中小企業も無関係ではない。

 議会ではワックスマン・マーキー法という排出権取引に関する法律が審議されている。妥協に妥協を重ねて下院を通り、現在上院で審議中だ。排出権取引というのは、二酸化炭素などの温暖化ガスの排出量を制限し、もし基準を超えたら超えた分だけ、お金を払わなければならないという制度だ。お金は基準を下回った優良企業に支払う。つまり、排出削減を努力しない企業は損をして、努力した企業は得をするという制度だ。

 この規制は中小企業は除外される。主には電力会社などのエネルギー部門と鉄鋼やセメントといった産業部門の大企業に課せられる。

 アメリカの経済界は自由経済を貴重としているため、この規制に対しては消極的と思われがちだ。確かに、「自由主義」、"open market"を標榜する人たちは本当に徹底して反対している。地球は温暖化しているが、それは人の影響ではないと言っている。こうした議論はほとんど化石化していると思われるのだが、まじめに言っているのには驚く。これらの自由主義者は日本の経団連の立場とほとんど同じだ。

 さて、米国の状況だが、米国の大企業は実はおおむね排出権取引には賛成している。それはGEといった自動車産業や、シェルとった石油産業も含まれている。トヨタも米国では環境派企業となっている。おつきあいにしろ、日本の経団連とえらい違いだ。

 ワックスマン・マーキー法は上院で審議されているが、法案はさらに妥協を強いられることになるらしい。中西部の重工業関係の産業を持っている州が批判的なためだ。しかし、オバマ政権の導入に対する意欲はなみなみならないものがある。なんとか、がんばってほしいものだ。