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☆№280 お中元

№280 お中元
お中元の季節がやってきた。毎年,依頼者のみなさまからお中元を頂く。頂くか頂かないかで別に活動が変わるわけではないが,頂ければ何となく信頼されているようでうれしい。

さて,法律事務所には季節毎にお中元,お歳暮をいただくのであるが,だいたいのり,インスタントコーヒー,ジュース,ビールという感じだ。時期が集中するので事務所に積まれるのであるが,問題はその処理だ。

よその事務所の事務員と話していると,「うちの先生はお中元を全部,自宅に持って帰っていく。」という愚痴ともつかないことを言うことがある。そこには何となくうちの先生はケチだというニュアンスが込められている。確かに,依頼者との信頼関係は弁護士だけでできるものではない。彼女らにも権利があるかも知れない。しかし,この愚痴とも付かない言葉にはそれ以上に共同体に由来する深い意味があるように思われる。

ところで。
お中元を持って帰らないと,妻に愚痴が出る。夫(私)は事務所ばかりを大切にして家族をないがしろにしていると思うらしい。これは不合理な話だが,この妻の怒りはけっこう根深い。一昨日なんかは夜中に起こされていきなり愚痴られた。私の敬愛する某先輩弁護士に尋ねてみると,某大先生の奥さんもできた人なのに,お中元,お歳暮にはこだわったのだそうだ。いろいろ,外の弁護士に聞いてみると,私だけではなかった。どうしてだろう。

お中元は古く中国の道教に由来し,贖罪の日ということだったようだ。これが儒教に取り入れられ,先祖供養の日となったらしい。日本にもこの習慣がやってきて,いつのまにか贈り物を交換する日になった。江戸時代は盛んに行われ,今では得意先,目上人,世話になった人への贈答ということになったようだ。
由来はともかく,目上の人に感謝を込めて送るというのは贈答の意味だと思う。

しかし,由来を調べても奥さんがお中元にこだわる理由は出てこない。

私はこう思う。
遠い昔,私たちの祖先は狩りをし,時には略奪をしていた。獲物は家族で分け合うというのが原始共同体の掟だ。きっと,この原始共産制のなごりが,盲腸や尾てい骨のように,籠橋家の家族社会にまだくっついているに違いない。