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№274 驚嘆 モクモクファーム

№274 驚嘆 モクモクファーム
 モクモクファームの本質は誇り高い独立心だ。
 
 モクモクファームは豚の地域ブランドを作ることから始まった。それは地域の農家が誇れる農業を行えるためだ。大手スーパーなどの流通業界に依存しない独自の商圏を確立する努力だったと思う。

 モクモクファームは質の高い商品を生み出している。良い豚を作るために研究を重ね,良いハムを作るためにドイツに研修に行き,社員にも研究を奨励している。最高の品質を実現するという意欲は誇り高い独立心無くして湧かないと思う。

 モクモクファームは消費者と直接対話しようとしている。モクモクファームの思想を商品に託し,農業公園に託し,手作り教室,体験農園という事業に託し,「説得」をする。消費者は自らの判断で「説得」に応じる。こうした消費者も独立し,生産者も独立する関係の中で事業を発展させている。

 モクモクファームには社員のマニュアルがない。社員自らが自尊心と独立心を事業に参加する意識を作るためだ。何のために働くかを明確に示し,あたかも法人が一つの運動体のように展開する。これも誇り高い独立心の表れだ。

モクモクファームを調べてみて,最も感動したのは農業公園を作ろうとした際に,400万円のキャンセル料を支払って大手コンサルタントを断ったことだ。

 これは1995年ころのことだと思うが,当時はバブル経済真っ最中で,あちこちにリゾート施設,わけの分からないテーマパークが計画され,建設された時代だ。無責任なコンサル会社の提案に乗った,頭の悪い自治体はとことん痛い目にあっている。(実はこのころ,私はゴルフ場開発に反対してアマミノクロウサギを原告にした訴訟を担当した。)

 大手コンサルに頼らず,15億円の事業をあえて自分たちで計画しようとしたのだ。こんな勇気ある,感動的な話はない。これは,大航海時代にまだ見ぬ宝の国を目指して大海に船をこぎ出したのと似ている。