№273 モクモクファームの秘密,地域と力
モクモクファームは大手スーパーなど大企業に依存しない方針だ。
このような経営スタイルはどうしたらできるだろうか。
モクモクファームは生協の影響も受けている。
生協は消費者協同組合法に基づいて結成される法人で,「国民の自発的な生活協同組織の発達を図り、もつて国民生活の安定と生活文化の向上を期することを目的とする。」。生協では消費者が組合員となり,自発的に組織し,消費者のことは消費者が決めるというコンセプトで組織化されている。
生協は消費者の自律性を持ち,組織されることによって,メーカーなどの大企業から独立した力を持とうと考えている。消費者は地域住民だから,生協運動と地域の自律性とは強い親和性がある。
モクモクファームの場合,生協とは異なる。しかし,モクモクネイチャークラブという会員組織を作っている。これは個人消費者の会員を全国に作り,農産物などを宅配するシステムだ。生産者が地域と直接結びつき,直接支持を得ていこうという点で生協とよく似ている。
モクモクファームは発足当初赤字が続いていたが,「ウィンナー手作り体験教室」をきっかけに消費者と生産者との垣根を低くしての結びつきが始まり,成功につながっていった。何者かに依存しない,独自の経済圏を持つことの意味をモクモクファームは教えてくれる。
もちろん,モクモクファームは生協と違う。生協と違うことから来る自由度というのが存在し,それが企業にとっての魅力となっている。