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№258 中小企業にとって「地域」とは何か?

№258 中小企業にとって「地域」とは何か?
 私は中小企業家同友会に所属していて,時々勉強会を開いている。
 今回のテーマは「地域」だ。地域に注目することは事業維持,事業発展の活路となるだろうか。

 中小企業家にとって「地域」と言っても関わり方は様々だ。

■ 小売業は?
 商店街やスーパーマーケットなど小売業は地域に密着している。商店街の活気は地域経済のバロメーターだ。
 しかし,小売業でも最近はインターネットの発達により商域を全国に広げている。京都の「錦」といわれる商店街は京都の台所だが,卸した食材を京都圏全域に配達している商店があるから,その場合は地域は京都全域だ。

■ 製造業は?
 製造業などは特定の大企業が地域に存在し,それを中心に発展する。人材を地域から確保して事業を営んでいる。商売上の事業者相互の関係も地域発展の課題となるだろう。同業者はライバルであるけれども,互いに切磋琢磨し,地域の製造業全体の水準を上げている。製造業も発展すれば,全国に製品を出荷するし,中国への輸出することがあるだろう。

■ 運送業はどうだろうか。
 近距離運送は地域が重要なことは言うまでもない。長距離は全国的な視野はあるけれども,荷主は地域に存在する。クロネコヤマトは不特定多数の小口の需要に注目したが,これは地域需要そのものに活路を見いだした事例だ。

■ 農業は?
 農業は地域そのものだ。しかし,直販によって徐々に領域を拡大している。直販の発展は,小売りとしての直販だけでなく,農家が都市部で直接レストラン事業を開業する例が増えている。

 企業は地域に所在する。様々な商圏を持っており,地域企業の商圏総体の拡大は当然の事ながら地域経済を活性化させる。・・・・そんなことは,誰でも知っている。

 企業相互のネットワークの蓄積が,地域の需要に対する対応力を大きくし,より多様な,多くの需要に応えることができる。・・・・そんなことは,中小企業白書も書いている。
 
 地域全体をマネジメントして地域を一つの事業体のようにとらえて戦略的に発展させる。それが成功の秘訣だ。・・・・これも,すっかり言い古されている。

 私達が知りたいのは,地域にかかわることで生じる,個別企業の商売発展の具体的なメカニズムだ。自分の商売を振り返って,今すぐ取り組め,売り上げが伸びるかも知れないという具体的課題だ。