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№242 市場の点検,市場の見直し

№242 市場の点検,市場の見直し
クロネコヤマトはトラック部門での事業の見直しを迫られ,活路を地域の不特定多数の需要に目を向け市場の転換をはかって成功を収めた。

  急激な景気後退の中で,多くの企業が不景気は底を打ち,徐々にではあるが回復の方向に向かっていると感じていると思われる。そんな中,多くの企業が景気の急激な落ち込みに対する懸命な工夫をすると共に,今回の不況を総括し,自身の事業展開のあり方に対する反省,新たな事業展開のあり方を模索していると思われる。それは,原点にもどって自身の事業のあり方見直す作業でもある。

1) 市場の点検,市場の転換
  ところで,不況下での事業の総括は,自己の市場,財務体質,経理の明確性,社員との信頼関係など多岐にわたる。その中で,今回の急激な不況下で最大の関心事は仕事の極端な減少である。自社がテリトリーとする仕事(=市場)は正しかったかどうかが見直されることになる。

 ① 市場の点検
   自社の事業は,本業としてきた市場に対して正しく働きかけてきたか。
   本業が全体として斜陽化していることに気づかなかったか。自社は本業に対して手を抜いていなかったか。本業の拡大を怠っていなかったか。

 ② 市場の転換
   自社は新たな市場に乗り出すべきではなかったか。経営の多角化をすべきではなかったか。多角的経営に走らず,一つの可能性ある市場に特化すべきではなかったか。


2) 地域社会と需要
  中小企業家同友会では中小企業憲章を提唱している。憲章は中小企業中心の経済を理想としているが,それは地域社会と密接に結びつき,地域の経済力の向上と共に企業も発展する考え方である。つまり,住民がいる以上必ず需要はあり,仕事はあるという考え方である。この不況下だからこそ,市場の隠れたニーズは地域社会の見直しの中にある。市場の点検,市場の転換の作業はこうした地域社会に対する回帰の中で行うことも必要なことだ。