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№211 日本の事業者達に告ぐ!ソルテアを見よ!

№211 日本の事業者達に告ぐ!ソルテアを見よ!
 ベルリン行きの飛行機に乗っています。日弁連の仕事なので滞在期間はわずか3日,自由時間は1日だけです。自由時間は何したらいいんだろう。ホテルはどこだろうか。英語は通じるかしらん。

 産業遺産(Industrial Heritage)という言葉があって、産業にかかわる歴史的遺産のことだそうだ。その中に、ソルティアというイングランドにあるヴィクトリア時代の村がある。ソルテアは開明的な産業家サー・タイタス・ソルト(Titus Salt)によって1853年に建設された。ソルトさんの村ということでソルテアという名前になっているようです。

 1853年といえば、イギリスは産業革命の真っただ中。紡績工場では女性や子供らが奴隷のように働かされていた。不健康で結核も多く、短命で、病気になれば解雇された。労働者はぼろ雑巾のように扱われていた。

 そんな中、アルパカの織物で大成功したソルトさんは、自分の工場も含めて、当時の労働者の労働環境、生活環境があまりにも劣悪であると感じて、一念発起し、ソルティアに新しい村を作ることを決意したのだ。ソルトさんは町を碁盤の目に区切り,徹底的に清潔に保った。ペットなどは不潔だから飼ってはいけないとしたらしい。

 労働者のための病院を作り,労働者のための住宅を造り,労働者のための公民館を作り,労働者のための教会を造り,労働者のための食堂を作った。労働者が安心して老後を迎えられるように老人施設も作った。労働者の寿命は増大し,生産もあがり,事業も拡大した。ソルトさんは労働者を大切にすることの方が,本当は生産性があがるのだと堅く信じていた。

実際、労働者たちは健康であったし、労働に意欲的だった。労働者のための教会やコンサートホール文化施設もあった。こうした啓蒙的な経営者は労働者も経営者もともに生きていくという理想に溢れていた。マルクスは現実的でない社会主義者空想的社会主義と呼んでていたようだが、私はそんなことはないと思う。労働者を人間らしく敬意をもって扱った実業家として深く尊敬されるべきだと思う。

 ソルトの思想から言えば、未払い残業、厳しいノルマなどブラック企業は実業家としては失格ということになる。人々はソルトさんを深く尊敬し,ソルティアという美しい村は世界遺産にもなった。


   http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BD%E3%83%AB%E3%83%86%E3%82%A2