名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

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№199 地域主体の経済

№199 地域主体の経済
 平成11年中小企業法が改正された。規制緩和,グローバリゼーション,景気の上向きといまとはかなり違った状況下ではあるが,二重構造からの脱却,中小企業の主体性が強調された。
 これらは,余り機能しなかったようであるが,ひどい不況下でこそ,もう一度制度を見直し,中小企業にとって役だったか,今後は役立つものなのかを総括するの悪くない。
 

 ① 中小企業基本法検討
   基本法は平成11年に改正され,中小企業こそが我が国経済の発展と活力の源泉であり、中小企業の自助努力を支援することになった。資金、人材、技術、情報等の経営資源の面での支援を基盤的な施策とし、これに創業・経営革新等の前向きな事業活動を行う者への支援と大規模な金融危機等の場合のセイフティネットの整備を重点政策として位置付けた。

 ② 産業クラスター
   産業クラスター計画とは、地域の中堅中小企業・ベンチャー企業等が大学、研究機関等のシーズを活用して、IT、バイオ、環境、ものづくり等の産業クラスター(新事業が次々と生み出されるような事業環境を整備することにより、競争優位を持つ産業が核となって広域的な産業集積が進む状態)を形成し、国の競争力向上を図ることを目指す計画であり,経産省において平成13年からスタートした。

 ③ 中心市街地の活性化・サスティナブルシティ
   1990年代に入ってから、日本全国の地方都市で郊外化が進むようになり、中心市街地の衰退や空洞化が目立つようになってきた。その是正のために,中心市街地活性化法が制定され,各地で中心市街地活性化基本計画が策定された。併せて,大店立地法都市計画法改正が行われ,まちづくり三法ができた。

 ④ リレーションバンキング
   リレーションバンキングとは金融機関が顧客との間で親密な関係を長く維持することにより顧客に関する情報を蓄積し、この情報を基に貸出等の金融サービスの提供を行うことで展開するビジネスモデルを指すとされている。金融再生プログラムの一環として平成15年に金融庁がその強化を打ち出している。これは,企業の信用リスクの評価基準として担保以外の企業実績,企業の可能性を重視して融資を展開しようと言うものである。銀行などが地域と密接に結びつくことが,産学協同事業に対してもかかわっていくことなど様々なアイディアが出されている。この政策は経産省産業クラスター政策とも連動している。

 ⑤ コミュニティビジネス支援(地域課題解決型ビジネス、地域資源活用型ビジネス)