名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

№177 欠陥商品

中小企業法務 №177 欠陥商品

 製造物責任法ができたときは,どの企業も我が社の責任の射程範囲についていろいろ議論していた。新しい法律の射程範囲が見えないため,いろいろ困っていたように思う。
 しかし,事故というのは思わぬところで起こる。こんにゃくゼリーもまさか自分のところでこれほど問題になるとは思っても見なかっただろう。

 一口サイズのゼリーを誤って気道に入れてしまうというのはあり得る話だ。しかし,コンニャクを素材にすることで,通常のゼリーにはない硬さを確保していること,一口サイズで食べることができることは商品の重要な魅力の一つである。マンナンライフとしてはこれを外すことはできないという事なのだろう。事故が多発しても売っているところ見ると,事故の賠償問題のリスクを抱えてもなお売るだけのメリットがあるということだろうか。この種の事件を引き受けて改めて食べてみたが,なるほと危険だ。

 製造物責任欠陥商品に対する賠償責任で,過失などの立証責任が転換されている。つまり,製造者の方でどんなに努力しても,当時の科学的,技術的知見からすれば欠陥は避けられないような状況にあったと立証しなければ責任を負わされてしまう。

 問題は「欠陥」とは何かということだ。こんにゃくゼリーだって,ゼリーとしてはきちっとした商品だ。別にバイ菌が入っていたという訳ではない。お餅だって,老人が誤って喉に詰まらせることはよく聞く話だ。

 つまり,消費者がその商品を利用するとき,食べるときに安全に食べる環境を整えることができなければ商品の欠陥とみなされてしまうことがあるのだ。ゼリーの容器に工夫がないとか,食べ方について注意事項がないとか,売る側で環境を整えておかなければ,商品自体が安全でも,危険なものとされてしまう。製造物責任において,マニュアルや,商品の注意書きは大切だ。

 法律は「『欠陥』とは、当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物に係る事情を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいう。」としている。