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№170 どどいつどいどい

№170 どどいつどいどい

 都々逸は江戸末期,名古屋熱田で生まれた。熱田は桑名までの「七里の渡し」の宿場町として大いににぎわったらしい。何でも「お亀」という遊女が大いに人気だったということで,私も一度,この遊女と遊んでみたい気がする。
 
熱田節の節回しを都々逸として完成したのは,水戸出身の落語家,都々逸坊扇歌という人物だ。彼は都々逸の節回しで大人気となり,「どどいつどいどい」などと歌っていたそうだ。しかし,都々逸はだんだん政治風刺の傾向となり,ついに彼は江戸追放の憂き目にあってしまった。

 幕末から明治にかけて,多くの若者が新しい世界を夢見て活躍した。こうした若者の間でも都々逸は流行した。

 「三千世界の烏を殺し、主と朝寝がしてみたい」

 とは高杉晋作のものだが,三千世界とは,十億個の須弥山が集まった宇宙の果てまでの世界だ。カラスは中国の古代伝説で太陽を運んでいた。太陽は重いのでカラスには足が3本あったそうだ。神武天皇を導いた八尺の烏もここからきている。Jリーグもこのカラスがシンボルになっている。このカラスを殺せば,朝が来ない。だから,「主」といつまでも一緒にいられるというなかなか豪快で泣かせる都々逸だ。さすがは高杉。

 ともかく,都々逸はどこかふざけていて,どこか人情がある名古屋が産んだ庶民の芸術だ。

 最後に,都々逸坊扇歌の歌をひとつ。不況であえぐ,今の時代に必要な余裕ですね。

     たんと売れても売れない日でも 同じ機嫌の風車