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№167 信用リスク

№167 信用リスク

 ウィキペディアによると「信用リスク(しんようリスク)とは、債務者が、債権を履行できなくなるリスクのことである。デフォルトリスク(債務不履行の危険性)とも言う。」「信用リスク管理は貸出を業務の柱としている金融機関にとっては、大きな関心事である。金融機関にとっては、貸倒れによる損失をカバーするための利鞘を確保することが求められる。」
 
 確かに,銀行はリスクを引き受ける業務だ。利息や遅延損害金はリスクの対価といっても言い。各銀行は顧客の企業を格付けし,リスク評価を行っている。それは財務諸表などから行う定量評価,そのほかの企業能力などを判断する定性評価などがあるそうだ。銀行は商売だからそうした評価は高い専門性を持っているだろう。現実に使えなければ銀行はつぶれてしまうだろうから,実践的でもあろう。この信用リスクあり方が金融貸しはがし貸し渋りを決定づける。

 多くの中小企業は多額の債務を恒常的に抱えている。銀行から見放されれば,直ちに倒産の危機に陥る。中小企業の社長は銀行による信用格付けを考えて,いろいろ銀行とつきあっていく。数千万円の預金を維持してそれを上回る数千万円の借金をするというようなこともありうる。シロウト目には預金の金利より,借金の金利の方が高いのであるから,とっとと相殺して,借金だけにすればよいのではないかと思うが,そうではないらしい。預金があることで銀行からの信用を得ていると社長は信じている。それほど銀行はこわいのだ。

 しかし,本当に銀行とうまく行っていると言えるだろうか。私は仕事上,企業の危機に対応していることが多いせいか,銀行は冷たいところだと思っている。にこにこしていても独自の信用評価により企業を冷静に眺めているはずだ。預金があろうが,銀行の商品を購入しようが,支店長と仲良くなろうが,譲れないリスク評価基準を持っている。会社をつぶす決断をすれば実に早い。手のひらを返したような応対に出る。電話をかけても応答しない。約束があったって,約束を知らないと言い切る。

 法律事務所の場合は銀行とのつきあいは薄い。ただ,銀行とのつきあいはビジネスであり,相手も専門性を持っているのだから,専門的知識をもっておつきあいすることは不可欠なのだろうと思う。それは,銀行がどこを見ているかを知ることだ。