中小企業法務 №148 税務勉強会
今年から税理士登録をした。形の上では弁護士でかつ税理士ということになる。もちろん,餅屋は餅屋ということで,にわかに税理士業務ができる訳ではない。むしろ,税理士さんたちと共同の仕事ができないかというのが今回登録の目的である。
というので,本日は税理士の先生方の勉強会に出席した。勉強会では国税審判事例で修正を勝ち取った事例のケーススタディが行われた。我々弁護士もそうだが,仕事の話になると熱くなる。
今回のケースは2つ。一つは月々支払う役員報酬の一部を未納扱いにして,夏,冬のボーナス時期に未納部分を一括して支払う方式が許されるかという事例であった。役員にもボーナスを払いたい,その賞与を全額「損金」にしたいという会社の苦肉の策が認められなかった事例である。
弁護士の視点から見れば,全ては取締役会決議で決まるのであるから,先に払おうが,後で払おうが同じという気がしてしまう。全ては会社の自治にかかわる問題である。役員の所得に対しては結局所得税という「税」が課せられるのであるから,どうってことないではないかと思ってしまう。
しかし,それはシロウトというものらしい。法人税法35条4項には「臨時的な給与」に対しては役員賞与となり,「損金」とされない。検討した審判事例では毎月差し引かれていること,夏,冬,と従業員と同じ時期に支払われていることなどから「臨時的」と判断されている。