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№139 アジア共同体

中小企業法務 №139 アジア共同体

 ヨーロッパ共同体の動きに対応してアジア共同体ができたらいいなと思っているひとたちがいる。昨日,そうした人たちの会合に出席した。

 ヨーロッパ共同体に続いて,アメリカ合衆国南北アメリカの共同体を考え,アフリカでも共同体を考え,アジアでも共同体を考える。まるで第1次世界大戦のブロック経済を思わせる傾向は,もちろん,当時とは本質的に異なる。それは,国境を越えた「資本の自由化」の枠組みがどこまで広がっているか,あるいは単一市場のとしてのグローバリゼーションがどこまで広がっているかを基準にヨーロッパ,アメリカ,アフリカ,アジアという区域を考えているからだ。

 問題は,単一市場の進む今日,中小企業の連携というのはあり得るかという点である。あるいは,EUが打ち出そうとしている中小企業政策,Think small first.の考えが,EUの枠を超えて普遍性を持つかという点である。
 
 この点では,中小企業の持つ「公共性」,地域の雇用を確保し,内需を支え,市民の多様性を実現するということを持ち出して普遍性を持つとすればよい。しかし,グローバリゼーション下にあっては保護主義の位置づけは非常に難しい。少なくともグローバリゼーションに対し,「是」とする部分があると考えるときには非常に難しい。中小企業保護政策は直ちに貿易に不自由につながるからだ。

 さらに,国際的に見て中小企業の連帯はなりたつかという点でも難しい問題がある。私の依頼者は中国の中小企業と競争している。資本の自由化で企業が海外に展開することで内需が冷え込む,経済の空洞化が生まれているという批判もある。