中小企業法務 №133 中小企業憲章ノート 中小企業の公共性
中小企業のあり方を前提として,中小企業が持つ公共性が検討されなければならない。
この場合の公共性とは,中小企業が自由な存在であることによって社会的価値が発揮されるという点である。中小企業は現場情報を直ちに昇華して営業に結びつけなければ生きていけない。ここに国民の多様な要求に応える必然性を持っている。中小企業はこうした国民の多様な要求を経済社会に繁栄し,経済社会を多様化させる。これは同時に文化の多様性でもある。そのためには,中小企業が真に自由な競争下に置かれる必要がある。そのためのルールがなければならない。
中小企業は適切な環境に置かれれば,消費者(購入者という意味で大企業も含む)の支持を得られるよい商品を生み出すことできるし,これは社会の活性化につながる。この場合の適切な環境とは,社会経済の変動に対しても企業を維持できるだけの環境であり,大企業に対する関係も含めて平等・公平な競争関係に立つことができるという環境である。独占禁止法に対する考え方の確立など,中小企業の法体系はこのような考えのもとに組み立てられるべきである。
ところで,中小企業の自由が保障されるというためには,その企業の持続性が保障されなければならない。中小企業は大企業に比較して社会,経済上の地位が弱いため,本来の競争の枠外に置かれやすい存在である。また,社会経済の変動にも弱い。こうした状況下で企業が自由であるためには,社会全体がその持続性を保障しなければならない。
以上から検討すべき項目は何か。
① 中小企業は自由に活動することによって,国民の文化,社会,経済的多様性に貢献する。それは社会,経済民主主義の課題である。
② 中小企業の自由は競争社会の適正なルールものと保障されるべきである。
③ 中小企業の自由が保障されるというためには,その企業の持続性が保障されなければならない。
④ 中小企業の自由の憲法上の根拠は,経済活動の自由だけではない。国民の幸福追求権,生存権,労働基本権など基本的人権の諸権利に奉仕するものとして保障されなければらない。