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№2376 社員が自主的に役割を見つけ自由に発展する組織

 京セラ稲盛会長は西郷南州をこよなく尊敬し、その南州翁遺訓から多くを学んでいる。業績と役職ついての次の言葉をしばしば引用されている。

「何程国家に勲労(くんろう)有り共、其(その)職に任えぬ人を官職を以て賞するは善からぬことの第一也、官はその人を選びてこれを授け、功ある者は俸禄(ほうろく)を似て賞し、これを愛し置くものぞと申さるる」

 組織の中での役目はその能力を持つ者に与えられなければならない。過去に業績があるからというだけで与えてはならないと言っている。人はその役職についたからといってその役職に相応しい能力があるという訳ではない。稲盛会長はここに人事の妙があるという。

  

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組織は戦略に従う 

 どのような組織にも目的は存在する。その目的実現にもっとも相応しい戦略がある。組織はその戦略に従って作られていく。本来から言えば組織の役職者はそれぞれの役職を組織の目的実現のために担おうという意欲と能力によって決せられなければならない。

 

人事が自然に決まるというのが理想かもしれない

 通常は経営者が人事権を行使して能力を見極め決めていく。
 しかし、本来からいうと、能力を持つ者が「自ずと」特定の役職についていくというのが理想だ。チームの中で誰もが彼の能力や意欲を認め、彼はそれに相応しい役割を担っていく、というのが理想ではないだろうか。

 

ルールをもって自主的に動いた結果が組織となる

 実社会というボード上に駒があり、その駒は特定のルールに従って動くとする。組織には目的があり、実社会の中でその目的実現に必要なこと、有害なことを駒たちは感じ取り、相互に協議しながら、そのテーマに対応するために連携を図っていく。この連携がやがて組織として形作られていく。こんな組織は理想ではないだろうか。

 

粘菌というアメーバを例にとると

 粘菌という不思議な生物がいる。粘菌は普段はアメーバとして単細胞生物として行動しているが、生活環境に栄養分が少なくなると集まってキノコのようになり、胞子を拡散して生き延びていく。アメーバという単細胞生物が生存して種を維持するという目的のために、環境に応じて組織を変えていく。

 

アメーバには集合して動くためのルールがある

 この時の集合して、一つの単一生物であるかのように振る舞うというルールが単細胞生物の間に存在する。環境の変化に対して、個々の単細胞生物が役割を見つけ、ルールに従い振る舞い、組織全体のために役割を果たしていく、そしてやがてキノコのような形に変化していく、これはまさに西郷南州や稲盛会長の理想ではないか。

 

組織のルールはOSに似ている 

 こうした自主的活動をする時のルールを、組織についてのオペーレーティング・システムと考えることもできる。実社会のためで有益であるため様々なアプリケーションが開発されるが、それはウィンドウズというOSに従って開発されていく。組織の形成も状況に合わせて変化させなければならないが、OSは必要だ。

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