「働き方改革」関連法の中小企業適用がまじかに迫り、社長たちの頭の中ではこの問題がけっこう悩みの種になっているかもしれない。
1. そもそも同一労働同一賃金って何?
同一労働同一賃金(:equal pay for equal work)とは、同一の仕事(職種)に従事する労働者は皆、同一水準の賃金が支払われるべきだという概念(wiki)。本来男女や人種などによって賃金の取り扱いを差別することを禁じるという人権擁護の考えから発展した考えだ。昨今は正規雇用と非正規雇用との間の差別も禁止するようになってきている。
2. 労働市場の平均的賃金
欧米のように職能給的発想がある国では企業横断的市場が形成されているため、企業間の差は日本ほど大きくない。同一労働同一賃金も労働市場の平均的水準を目安にされているようだ。特に米国では男女、年齢、人種などによって差別することが厳しく禁じられているため、同一労働同一賃金の考えは浸透していると思われる。
3. 日本では職場における同一労働同一賃金
日本では労働力の流動性が乏しいため、同一労働同一賃金といっても同一職場内での話に限定されてしまう。
昨今で問題になっているのは、非正規雇用や派遣労働者との格差の是正や定年退職後の労働条件、外国人労働者との格差といった点にある。
4. 同一労働同一賃金関連法規
今回「働き方改革関連法案」は非正規雇用(派遣も含む)の解消を目的としている。現行法上パートタイム労働法8条、労働契約法20条などがあり、関連法ではこれらを改正され、パートタイム、有期雇用労働者を含めた法律に統一された。これにともない、動労契約法20条は削除されている。
5. 不合理な差別の禁止
職場における不合理な差別は次の要素を考慮しながら判断される。
① 職務内容
② 異動範囲(当該職務の内容及び配置の変更の範囲)
③ その他の事情
6. 何が不合理といえるか
同じ職務内容であっても、例えば転勤が多く予定されているとか、幹部候補のように別の職場配置も経験させる予定があるとかいった人事政策上の異なる取り扱いがあれば合理的差異があるとする。
同一労働同一賃金の対象は基本給、賞与、作業手当、精皆勤手当てなどにも及ぶ。判例は個別の費目ごとに合理性を判断すべきと判断した。個別判断はもやは抜き出して整理するほかはない。
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