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№106 「倒産」と在庫,在庫をどうする?

中小企業法務 №106 「倒産」と在庫,在庫をどうする?

 破産にもお金がいると聞いて驚かれることが多い。小さな企業でも100万円ほど必要だ。だいだい債権者数,総債務額,企業規模によって必要な金額が変わってくる。中企業だと500万円ぐらいかかることだってある。

 お金がなくて破産するのに,どうするのだと思われる。そうなのだ。本当にお金が無いときには破産もできない。そんな時には会社は放置され,いつのまにか消えてしまう。破産が必要かどうかは,会社に置かれている状況によっていろいろ異なる。

 「倒産」という言葉が飛び交うと,誰もが最初に思いつくのが在庫だ。売った商品を取り戻さなければならないし,そうでなくても在庫は動産だから取得によって確実に財産を得られることになる。弁護士だってそうだと思う。破産事件で最初に考えるのが,取り立てをどのように防ぐか,在庫を守る手段をどうするかである。

 債権者にとって在庫についてはいろいろな法律が使える。もちろん,これだけではない。

① 先取特権
  民法311条にあるもので,売った商品が残っている場合について,そこから優先的に支払いを受けることができる。売ったものを実力で取り戻す作業が可能となる。もちろん,勝手に持っていってはいけない。あくまで実力だ。
② 譲渡担保
  在庫をまるごと,債権の担保にとることができる。
③ 所有権留保
  代金を払うまでは,商品の所有権は移らないとしておくことで,商品を取り戻すことができる。高額な商品に向いている。
④ 即時取得
  他人のものだと知らないで,在庫を獲得した場合には他人のものであっても所有権を取得できる。