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№99  ネッツトヨタ南国 その2 労使関係

中小企業法務ブログ №99  ネッツトヨタ南国 その2 労使関係

 愛知経営フォーラムでのネッツトヨタ南国社長の講演は非常に刺激的であった。①人間性に対する明確な理念,②これでもかといわんばかりの社員教育プログラムのアイディア,③時間をかけて社員教育を実施しようとする姿勢,というのが今回の講演で得た内容だった。

 顧客との関係についても,社員と顧客という人と人との関係を築き上げていくという点でも考えさせられる点があった。それは「会社と顧客」ではなく,「社員と顧客」であり,人と人との人間的な関係を重視する姿勢だ。ネッツトヨタ南国のプロモーションビデオやウェブサイトを見ると,顧客との関係でも社員一人一人と家族的,あるいは同窓会的な関係を意識していることが分かる。

 ところで,社員と会社との関係は共同の目標に向かって「幸せ」をつかみ取ろうという関係であるとよく言われる。ネッツトヨタ南国も全ての社員を人生の勝者にするというコンセプトがあった。しかし,社員は労働者でもある。労働者を対等な契約関係に立つ「個」として見た場合,ネッツトヨタ南国はどのような扱いをしているのだろうか。

 精一杯働いて能力を伸ばして貰いたいと考えるとしても,一方で労働者は自分の私生活を大切にしたい,オフの生活を充実したいと要求もあるだろう。労働条件の向上はコストとなってつきまとう。そこでの悩みはないだろうか。労使の関係は私も時々相談を受けることがある。悩んだときには,経営者は勇気をもって労働者の権利を守る立場を選択する必要がある。長い目で見ればそれが会社の持続的発展を保障する。

 私の理想は,会社経営にあっては会社全体が共通の理念を持って高いモチベーションを維持すること,労働者の労働条件は権利として保護されること,社員同士がオフにあっても仲良くし愛情豊かにあること,社員がオフの時間を大切にし個性ある人生を歩んでいくことなどが備わった会社だ。個性が尊重される同時に,相互が愛情で結びつき,労使の権利義務関係は明確である,そして共通の理想に向かって質の高い行動を維持する組織性,こうしたことが必要だ。

 それは強いサッカーチームのような組織だ。あるいは,優れた演奏を行うジャムセッションのような組織だ。

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