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№97 社長の決断の応援する。

中小企業法務ブログ №97 社長の決断の応援する。

 中小企業の社長は全てに専門家になることはできない。しかし,どこに専門家がいるかは分かる。弁護士はこうした社長の決断を応援する。

 中小企業においては,所有と経営とが分離していない。大企業では一般株主は会社経営よりも,配当,株価などに関心があって,所有と経営とは完全に分離している。中小企業では社長=オーナーということがほとんどで,分離が不十分だ。弁護士としても会社を助けるという感覚よりも,社長を助けるという感覚が大切だ。

 大きな困難が来たとき,社長は決断ができるとは限らない。社長の心が弱り,とんでもない妥協をしてしまうことも少なくない。なぜか,手形を渡してしまうこともある。時にはヤクザまがいの恐喝に乗ってしまうかもしれない。多くの場合,法律が示した方向が社長の決断を助ける。弁護士は,社長の決断を応援する。

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 日本の中小企業は,「寅さん」映画に出てくるタコ社長が典型だ。しかし,そうした社長像も昨今は徐々に変化しつつある。中小企業層も戦後,高度経済成長を乗り切った世代から,次の世代に変わりつつあるからだ。それは2代目であったり,起業家だったりする。そこには,人情厚いタコ社長というよりは,上昇志向にあってプロフェッショナルとしての社長を意識した例が多い。

 このプロフェッショナルを意識した社長像は,一般には勉強家が多い。マネージメントを意識し,マーケッティングを意識する。いろいろなセミナーにも関心が高く,自らもウェブサイトなどを利用していろいろな情報を仕入れてくる。それはそれで正しい。高度経済成長期のようにがむしゃらに生産してきた時代は終わった。グローバリゼーションにあって,世界の中小企業と競争しなければならない。中小企業には個別のニーズに応える高い専門性が求められている。社長にもこうした専門性が求められる。

 しかし,それでは足りない。スマートな社長の陥りやすい罠は「人情」を見落とす点にある。志を持ち,長期的展望で「地域に貢献する」ことの大切さを見落とす点にある。人は人情で動く,人は自分の人生を幸福にしたいと思って動く。それは社会への貢献であったり,働くことで得る生き甲斐でもある。競争やビジネスを意識しすぎる社長は人を人と見ない傾向にある。プロの社長は人を育てることできなければならない。

 このように,最近の社長はよく勉強し,プロフェッショナルを志向するのであるが,残念ながら,十分には行かない。それは企業が小さいからだ。企業が大きければ,質の高い社員を確保でき,分業も可能になる。社長も専門化していく。しかし,中小企業はそうはいかない。営業,人事,経理,すべてにわたって目を通さなければならない。
 また,社長は孤独だ。何でもやらなければならないと思ってしまうところもある。実際,何でもやらなければならない。

 中小企業の社長は専門性が求められる。でも,中小企業の社長は全てに専門家になることはできない。しかし,どこに専門家がいるかは分かる。弁護士はこうした社長の決断を応援する。