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№47 欧州小企業憲章

 欧州小企業憲章を読んでみた。原文は"EUROPEAN CHARTER FOR SMALL ENTERPRISES" となっており,"SMALL BUSINESS"とはなっていなかった。 "ENTERPRISES"には新しい試みであるとか,成功であるとか積極的な意味が込められている。
 憲章は簡単な前文と6つの原則,それに基づく施策などでできあがっている。6つの原
則についてはいずれも興味深いが,中でもおもしろいと思ったのは3番目の" Recognise entrepreneurship as a valuable and productive life skill, at all levels of responsibility"という原則だ。うまく訳せないが,あらゆるレベルの責任における,価値があり,創造的な人生のあり方としての企業家精神をヨーロッパは認めるとある。中小企業家は常に自らの責任で時代を察知し,市場の動きに反応し,現場が求めるものを創造する。それがまさに中小企業の存在価値であるが,中小企業憲章ではそうした企業家のあり方が,単に企業としての営業的姿勢というだけではなく,それが人生のあり方" life skill "と宣言しているである。
 人生のあり方そのものの範であるという考えは,企業的精神が教育の現場にも結びつくべきだという考えにもなっている。憲章が示す行動計画の中には "Education and training for entrepreneurship" という部分があって,「ヨーロッパは起業家精神や新しいスキルを早い年齢から涵養する。あらゆるレベルの学校において,ビジネスや起業について必要な一般的知識を教育する」となっている。つまり,欧州小企業憲章は事業者のあり方はビジネスの領域を超えて,ヨーロッパ社会の市民のあり方にまで述べていることを示している。