名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

№46 義烏「中国小商品城」

 中国浙江省中央部,義烏地域は「小商品市場」がある。「義烏」を頼りにインターネットで検索すると実に様々なサイトが義烏を紹介しており,そのいくつかを見るだけでその規模の大きさと,特異な経済発展の歴史をかいま見ることができる。NHKの街角アングルのサイトを見ると,「市内の年間取引額およそ2百7十億元(約3千5百億円)の半分を、海外との取引が占めます。」となっている。小商品というのは電卓やアクセサリー,時計など本当に小さな商品の意味で,その取り扱いだけで約3500億円の取引量があり,その半分が貿易であるというのであるから我々の感覚ではちょっと理解できない。張茜の論文によると,鉄道,高速道路網が発達し,内陸にありながら税関まで存在するといのであるから驚きだ。
 この義烏市の小商品市場の重要なところはどうやら大企業に依存しない形で発展し来たことである。この地域には伝統的に「鶏毛換糖」とう行商スタイルがあり,義烏の農民は天秤棒に荷物を担いで中国全土を広範囲にわたって商売してきたという。文革で著しく衰退したが改革開放政策のもとで徐々に息を吹き返し,近時は急速に発展して今日の状態になったという。義烏市の展開は世界でも例のない小商人の活躍ではないだろうか。
 義烏市の例は政府の援助のあり方を考える上で重要である。改革開放政策後,義烏の商人たちが活動を強めるのであるが,義烏の地方政府は商人たちが小商品市場を形成した当初から,それが発展するための基盤整備に力を注いできた。私は義烏の地方政府の施策を必ずしも十分知るわけではないが,前記論文によれば中小企業政策は義烏の商人の創造的な展開がまずあってそれを援助する形での政策だったという。中小企業政策が成功した実例はこうした例が多い。中小企業は自由競争が適正に保障されていけば発展するし,地域も活性化するのである。
 福岡県中小企業家同友会は「ビジネスセンター杭州」を設置して国際交流を進めているが,「義烏」の市場についても積極的に強い関心を持っているようだ。