名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

№20 中小法務の具体例,例えば営業秘密,「マル秘」スタンプはダテではない。

 中小企業は情報がとても大切である。中小企業は日々顧客と接し,様々な情報を得て商品や,営業のあり方を工夫する。市場との距離が近く,即座にニーズに対応してことで大企業にないよさを発揮する。しかし,情報管理がおろそかだと思わぬ被害を被ることがある。

例えば,金型の注文を受けて試作図面を大企業に提供したところ,その図面が中国に渡って生産されていたなどと言う話は一時大変な問題なった。企業には特許などパテントとはいかないが,営業上秘密にしたい情報はいくらでもある。

 こうした秘密に対しては不正競争防止法が保護を図っている。不正競争防止法を理解し,きちっとした秘密管理をしておけば,相手がどのような巨大な相手であっても対等に対決できる。力関係では弱い,中小企業でも自律性を発揮できる。当該情報が営業秘密とされ,それなりの管理がされていれば不正競争に対しては差止,損害賠償を請求できる。

 しかし,社長が営業秘密だと思っても実は営業秘密になっていない例は少なくない。例えば顧客名簿であるが,普通は営業秘密になるべきものである。ところが,平成12年9月28日東京地裁判例では顧客名簿が紙媒体に記載され,他社のカタログと一緒に事務机に置かれるなどの状態である場合には秘密管理されていたものとは言い難いとして保護の対象がから外している。

 秘密管理からすれば,マル秘などのスタンプが押されたり,アクセスが制限されていることは秘密として管理されている目安となるから,秘密の不正利用を追求するときに役立つ行為となる。こうした,ちょっとしたことでも中小企業にとって役立つ法務なのである。