名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

№19 法的正義と中小企業の持続的繁栄(その2)

 このブログを始めて,そろそろ中小企業のための法務というのも見えてきた気がする。

(前回よりの続き)

2. 企業家として自覚のために
 もちろん,こうした中小企業の社会的弱点だけが中小企業法務の課題ではない。中小企業の特徴は社長個人と企業との分離が進んでいないところにある。中小企業法務はここでも威力が発揮されるだろう。
 これは市場のニーズに敏感に反映する点ではよい方向で発揮するだろうが,悪い方向ではものごとをあいまいにし,厳格さを失わせる点に働く。契約関係をあいまいにしたばかりに損をしたり,労働者との関係を対等な当事者関係であることを忘れてしまったりする。あいまいな関係の中でうまい汁を吸おうというのではまっとうな商売はできない。ビジネスは厳格さの中でこそ持続的な発展が保障される。中小企業法務の役割はここでも発揮されるであろう。
 社長と企業とが近いという特徴は個人の問題がそのまま企業の問題になってしまうという問題をはらんでいる。相続問題を始めとした事業承継はその典型だ。相続税制度の基本的な問題点もあるが,それ以外に社長の準備不足が原因して企業が廃業に追い込まれる例もまれではない。