名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

中小企業と融資、債務

№828 事業の危機、顧問弁護士の必要性

№828 事業の危機、顧問弁護士の必要性 会社が倒産の危機に陥り、それでも建て直しがきかないために、ついに従業員給料の遅配や欠配が生じてしまった。最近このような相談を受けた。 この企業の場合、年商が何億もあったが、リーマンショック後の不景気によっ…

№797 代位弁済、資金ショート、保証協会

№797 代位弁済、資金ショート、保証協会 市や県の保証協会を利用することは中小企業の間では当たり前の話になっている。むしろ、プロパー融資を受けることの方がめずらしい。 借りたお金は返す。これは当たり前のことで、企業の信用の最低限の条件であること…

№796 倒産の危機に際して、どのように処するか。

№796 倒産の危機に際して、どのように処するか。 倒産の危機を感じたら必ず専門家と相談するべきだ。例えば、明白な売上の減少があって、その傾向が止まないときには、事業者は資金ショートに恐怖にさらされる。この恐怖は社長になったことのない人間には分…

№724 倒産するべきか?

№724 倒産するべきか?! ある企業からの相談を受けた。創業して40年、妻とともに順調に事業を伸ばし、従業員もそこそこ増やしてきた。しかし、リーマンショック以降急激に売上が落ちてきた。そして、初めて銀行から融資を受けた。 この老夫婦には後継者はい…

№697 ある製造業のおっちゃん

№697 ある製造業のおっちゃん ある製造業のおっちゃんはかなり借金を抱え込んで大変だ。私の事務所に相談に来たとき、もう破産か逃げるしかないと追い詰められていた。確かに、現在の売り上げからすれば到底返せるあてはない。普通なら破産だ。 「確かに、債…

№682 事業再生のための諸手続

№682 事業再生のための諸手続 法的手段は債務整理の最終手段です。 大きな債務が経営上の重荷となって事業が立ち行かない場合については法的手段による整理も検討する必要があります。この場合に、営業利益が生み出されていることが必要です。つまり、どのよ…

№671 偏波弁済

破産前に特定の債権者に支払ってはいけません 破産申立に当たって一番気を遣うは偏跛弁済だ。偏跛行為というのは支払い不能状態、破産状態であるにもかかわらず特定の債権者を優遇したり、義務もないのに財産を流出させる行為だ。破産法は偏跛行為に対して否…

№666 いつのまにか債務が積もる

№666 いつのまにか債務が積もる 製造業でも、流通関係でも年商3億円、債務額が2億円、毎月の返済が利息も含めて300万円ぐらいという感じの会社はたくさんあるだろう。 毎月、毎月、きちんと借金が引き落とせるか社長は心配で仕方がない。社長は脳天気に構え…

№647 「銀行交渉術」中村中著

№647 「銀行交渉術」中村中著 中村中著「銀行交渉術」を読んでいる。 この人はメガバンク出身の金融コンサルだが、中小企業のことをよく考えていて大変参考になる。紹介事例が具体的でおもしろい。著者自身はできるだけわかりやすく具体的に記載しようと心が…

№644 金は銀行にある。その2

№644 金は銀行にある。その2 戦略的態度とはいったいどのような態度だろうか。 それは、企業の持続と発展という大目標のために、「銀行を知り、己を知れば百戦して殆うからず。」の極意である。 ① 交渉相手は誰か 銀行交渉の窓口は銀行担当者だ。私たちは日…

№643 金は銀行にある。その1

№643 金は銀行にある。その1 来週12月11日、名古屋E&J法律事務所では中小企業向けのセミナーを開催する。 → セミナーの紹介はこちら http://blogs.yahoo.co.jp/lawyerkago/33711875.html 債務対策がそのテーマであるが、そのことを考えると気持ちが萎えてく…

№642 長期債務に苦しむあなたへ

№642 長期債務に苦しむあなたへ 長期貸付金がたまって一体この会社は何のために事業を続けているのだろうと思うことはないでしょうか。事業存続のために銀行との細かな交渉を繰り返していくということもあるかと思います。こうした苦労は経営者でないと分か…

№641 債務処理の目標

№641 債務処理の目標 中小企業にとって債務処理の目標は何だろうか。 実はそれは企業の目的はなんだろうかと言う問いによく似ている。企業は活動するために存続する。活動できるのは顧客に支持されるからであって、社会にとって有用だからに他ならない。利益…

№638 正常なる運転資金

№638 正常なる運転資金 融資問題の勉強が続いている。 正常なる運転資金という言葉がある。 金融検査マニュアルによると、「正常なる運転資金」に対する融資は返済確実な債権として、「分類対象外債権」とされている。この返済確実性がどのくらい確実とされ…

№637 役に立つかな?定量的分析対策

№637 役に立つかな?定量的分析対策 信用格付を判断する際には、まずは定量分析、財務分析を行うということだ。融資条件の客観化は世界的な流れ(米国流グローバルスタンダード)であるため、昨今はどうしてもこの定量分析が重視されるらしい。定量分析項目…

№634 信用格付

№634 信用格付 最近、改めて金融検査マニュアルの勉強に入っている。 知り合いのある事業者は銀行担当者としつこく話し合って、自社の格付けを聞き出したのだそうだ。担当者は「ここだけの秘密ですからね。私が言ったということは絶対に黙っておいてください…

№632 破産なんてくそくらえ

№632 破産なんてくそくらえ 破産手続というのは「債務者の財産又は相続財産若しくは信託財産を清算する手続をいう。 」(破産法2条)。 どんな場合に破産が始まるかと言えば、「債務者が支払不能にあるときは、・・・申立てにより、決定で、破産手続を開始す…

№597 債務と向き合う最後の一手

№597 債務と向き合う最後の一手 リーマンショックで急激に売り上げが落ち込んだ。最近は徐々に回復してきたものの、3割減程度は当たり前になっている。すでに、リスケ、追加融資の対策はやりきり、残る手段が限られている状況にある企業も少なくない。 いっ…

№591 会社分割と債務

№591 会社分割と債務 法律的な書面ですが・・・・・ 会社法には会社分割制度が設けられている。これは複数の事業部門がある場合、それを独立させて経営努力を促したり、部門の売却を容易にする目的で設けられた。会社組織をもっと柔軟にして、M&Aを活発化さ…

№589 連帯保証

№589 連帯保証 「保証」というのは中小企業経営にあっては普通に出くわす言葉だ。さらに、保証の中でも「連帯保証」がほとんどで、通常の保証はまず出くわさない。 さて、保証というのは民法446条以下に定めいる。保証人の地位について民法は「保証人は、主…

№588 妻の連帯保証

№588 妻の連帯保証 弁護士にとって会社の自己破産はそんなに難しくない。私が弁護士になって初めて企業の自己破産の依頼を受けたとき、「もう立ち行きません、どうしたらいいでしょう。破産しようと思います。」と言われた。確かに財務状況は悪く、社員はや…

№582(短) 手形と銀行

№577(短) 手形と銀行 銀行が手形貸付けをする場合、銀行だからそう簡単に手形を行使することはない。ノンバンクの場合はすぐに行使してきて大変困る。確かに、信用金庫や銀行が手形不渡りの引き金になることはまれだ。私の依頼者も、銀行が手形を行使する…

№580(短)手形をなくす

№575(短)手形をなくす 最近の若手経営者の傾向は「手形をなくす」だ。手形は簡単に期限の利益を得たり、事実上の融資を得たりするので便利だ。手形は麻薬のように経営者を誘う。しかし、手形ほど融通のきかない債務はない。不渡り一発がどれほど恐ろしいこ…

№578 経営相談、事業再生

№578 経営相談、事業再生 最近、負債の相談が増えている。 ある会社では複数の事業部門があって、それぞれに収益の減少が生じている。当然、全体の収益も減少傾向にあるから経常利益も減少することになる。それまでうまくいっていた返済も、大きな重しとして…

№573(短) 苦しいけどがんばって

№573(短) 苦しいけどがんばって 返せないけど貸してくれと言って事業資金を借りた社長。こうした社長はたくさんいる。 ある社長は20年前、根雪のように借金がたまった会社の社長を引き受けた。彼はじっとがまんし、会社を維持しつつづけた。会社は浮き沈み…

№572  事業再生の法的処理

№572 事業再生の法的処理 根雪のようにたまった債務については最後の最後には切り捨てる外はない。この場合、経営者としては断腸の思いであるが、「耐え難きを耐え、忍び難きを忍ぶ」ほかはない。まだ、事業のうち、生き残り部分を残して後は切り捨ててしま…

№571 事業再生をどのように考えるか

№571 事業再生をどのように考えるか 売上げが低下したりて立ち行かなくなったり、債務がどんどん膨らんでいって事業継続が困難になったら、事業をどうしたらいいだろうか。私たちの思考順序はこんな風だ。 1. 生き残る価値がある事業かどうか 利益を生み出す…

№568(短) とても払えないけど貸してくれるか?

№568(短) とても払えないけど貸してくれるか? 銀行とのおつきあいは一定の透明性が求められる。銀行は決算報告書や事業計画書を求めてくる。資産を多くしたい、黒字決算が必要だというのは分かるが、下手な小細工はしない方がましだ。 リーマンショック以…

№562 極短ブログ 「倒産」

№562 極短ブログ 「倒産」 名古屋は朝からスコールでした。いつから熱帯になったんだ。 倒産というのは法律用語ではない。不渡りも含めて、およそ、資金ショートして事業が立ち行かなくなった状態だ。普通は、資金ショート→倒産=事業の消滅だが、そんなに簡…

№534 租税債権は強い

№534 租税債権は強い 経営が破綻し、再生や破産などを進めようと言うとき、気をつかうのが租税債権だ。事業税や住民税、固定資産税など、税金を滞納していることはめずらしくない。 税金というのは太古から権力最大の効果だから、これをバカにしてはいけない…