名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

2008-09-01から1ヶ月間の記事一覧

№76 社長があいまいにしているもの

社長があいまいにしているもの ① 定款・・・どこにいったか分からない。中身も知らない。 ② 株式・・・誰が何株持っているか分からない。 ③ 株主総会,取締役会・・・開いたことがない。 株式会社では定款,株式,取締役会,株主総会は組織の要だ。小さな会…

№75 殺人

マスコミでは殺人事件の報道は絶えない。ミステリーでは殺人は必須のアイテムだ。しかし,現実の場面と言うことになるとほとんどの人にとっては未知の話だろう。私がまた若いころ,集中的に殺人事件の弁護を引き受けたことがある。人が人を殺すというのはや…

№74 実況 ある倒産事件(債権者対策)

(前号から続く) 依頼者:債権者が押し寄せてくるのでしょうか。 弁護士:在庫があるので債権者がくる可能性が高いです。 うわさを聞きつけて,売った商品を返してほしいと言ってくるでしょうね。 依:どうしたらいいでしょうか。 仕入れ先には申し訳ないと…

№73 実況 ある倒産事件(はじまり)

倒産の現場は知っているようで意外に知られていない。あの企業がつぶれたなどといううわさは,業界や仲間内ではあっという間に伝わる。しかし,現実に経営者がどんな体験をしたかはなかなか分からない。 弁護士:どのようなご相談ですか。 依頼者:じつは,…

№72 戦略的法学

法律はこんな時に役に立つ。 ① 大きな困難に直面したときの解決の手段。 自社製品に欠陥があった,社員に事故が起こった,請負代金が回収できないなど。 ② 紛争を予防する手段 大きなプロジェクトで契約書を完備させたい。多数の顧客との関係を整理しておき…

№71 自己株式(金庫株)

中小企業にとって自己株式が役立つのは相続の時だろう。 経営者にとって株というのは不思議な存在だ。上場に際して億のお金が一瞬にして集まったときには魔法でも見ているようだろう。借りた金は返さなければならないし,ものを売らなければお金が入らない。…

№70 セーラー服の魅惑

私の通勤時間帯には女子高生がたくさん歩いている。 私は10年ほど京都で弁護士として活動し,名古屋に引っ越してきた。名古屋に帰ってきて最初に目についたのがセーラー服だ。私は東海高校という男子校に通っていたせいか,特に女子校のセーラー服にどうして…

№69 製造物責任

「事故米」事件といい,その前の赤福事件といい,製品の安全に関する話題は絶えない昨今です。製造物責任法(PL法)が施行されたときには世の中が,騒然として,どの会社もその対策のための説明書作りなどをしました。今回の事件についても,人体には直接害は…

№68 譲渡制限株式

【譲渡制限って何?】 譲渡制限は,会社が信頼できる人たちで運営できるためにあります。 株式は誰でも取引できるものですが,それでは変な人物が会社に乗り込んできてかき乱されてしまうことがあります。社長がおとうさん,取締役はおじいさん,おばあさん…

№67 定款自治

会社法は定款自治が原則である。中小企業では定款はかなり軽視されている。定款はありますかと尋ねてもどこにあるか分からないという返事も少なくない。誰が,何株持っているのでしょうかと尋ねられても古い話になると答えられない。これから伸びていこうと…

№66 突然株主が・・・株式って何だろう。

中小企業では社長の個性が色濃く反映されるため,「株主」の意識は小さい。中小企業の場合,所有と経営の分離が進んでいないため,思わぬところで「株主」が登場して,会社は大いに乱れたり,時には倒産の憂き目にあう。相続の時に,親族が株主として経営に…

№65 ウサギが法廷に来た日(駄文で失礼) その3

先週はワシントンDCに出張していて,中小企業法務を勉強する暇がありませんでした。駄文で失礼。ウサギ,その3です。 ウサギの事件はエピソードに事欠かない。東北地方のあるハンコ屋さんは,ウサギが法廷に行くにはハンコが必要だろうというので,わざわざ…

№64 ウサギが法廷に来た日(駄文で失礼) その2

先週はワシントンDCに出張していて,中小企業法務を勉強する暇がありませんでした。駄文で失礼。ウサギ,その2です。 裁判所がウサギを呼び出して,またまた世の中は大騒ぎとなった。天声人語はおもしろい,裁判所もなかなかやるななどと書き出した。でも,…

№63 ウサギが法廷に来た日(駄文で失礼) その1

先週はワシントンDCに出張していて,中小企業法務を勉強する暇がありませんでした。駄文で失礼。 弁護士になったからには社会貢献したいと思う弁護士も少なくない。私も普段は中小企業や一般市民の事件を引き受けているが,環境問題にも取り組んでいる。数あ…

№62 ワシントン便り その1

仕事でワシントンに来ている。資料がないので,このブログも日記風にならざる得ない。 インターネットが世界を変えたというの本当だ。メールやウェブサイトは今やどこにいても同じでどこでもやりとりできる。Hサイトだって,米国のサイトを簡単に日本で見る…

№61 センチメンタルな弁護士,ロマンチックな弁護士

今週一週間はワシントンDC出張なために中小企業法務の勉強も中断です。 社長はリスクを背負って自分の人生を選択する。大企業の決断は優秀な人材が会議を開き,多くの情報分析をもとに組織的に決断がされていく。しかし,中小企業の場合は社長の決断はそうは…

№60 テニスと商売,おじさんはしつこい

今回は閑話休題 わたくしはかれこれ4年ぐらいおじさんテニスを楽しんでいる。おじさんは一般に凝り性で,始めればわりあいしつこい。本屋でテニス入門を買い込み,最初の頃は毎日すぶりなどしていた。暑い日も,寒い日もがんばってスクールに通っている。こ…

№59 会社法レビュー

平成13年ころから会社法は毎年ように改正され,平成17年にはその集大成として「会社法」という法律ができあがった。それまでは会社法という法律はなく,「商法」という法律の一部に会社に関する条文が記載されていた。今回の改正は,変化する情勢に対して即…

№58 会社の信用は組織? それとも事業?

事業者にとって社長になることは一つの目標だ。会社は本来,出資者を募ってより大きな事業を行うことが目的だ。もちろん,日本でも同様だが,中小企業の場合出資者を募ることより,ある種のステイタスを勝ち取ることも目的となっている。社会も個人よりも会…

№57 アメリカ風企業

日本の会社法は明治26年に始まる(商法の始まりは昭和23年)。明治維新が始まり,わずか26年で現代資本主義の単位たる株式会社ができあがったのは驚くばかりだ。当時の商人には新しい時代への挑戦への気概に溢れていたに違いない。かの渋沢栄一が大いに思想…

№56 中小企業憲章 その3

2003年5月,中小企業家同友会全国協議会では中小企業憲章制定運動が提起され,以来地道な運動が展開している。中小企業憲章ハンドブックを発行し,学習シートが作られ,さらにプロモーションスライドなどの材料が作成されている。全国各地では憲章の精神を実…

№55 企業法務の中の中小企業法務

中小企業法務研究ノート週5稿をきまりとして書いているが56回になって,なんだかしんどくなってきた。誰と約束した分けでもないが,1年間このペースを守ってがんばっていきたいと思う。 1. 組織問題,対外活動問題,私的自治の問題,公的規制の問題 一般に企…