名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

2008-08-01から1ヶ月間の記事一覧

№54 弁護士競争社会,法律事務所は大変だ。

中小企業同友会では自社の経営環境についての分析をする勉強会をしている。ニュースなどでいろいろな情報は入ってくるが,改めて自分の経営環境を検討することは少ない。 弁護士は司法試験という資格試験に合格しなければならない。私のころは大変な難関で,…

№53 中小企業憲章 その2

中小企業憲章は中小企業政策にとどまらない,国民のあり方を深く問う問題である。 1. 憲法との関係について 中小企業憲章では憲法の価値である「個人の尊厳」「民主主義」との関係が明確にされるべきである。自己実現に向けて創造的に人生を選択する姿勢や,…

№52 環境マネジメント+アルファ

環境マネジメントと言えばISO14001がつとに有名だ。地球温暖化対策には特効薬はない。そのため日常活動のあらゆる場面で少しずつ改善を繰り返すことで徐々に温暖化ガス排出抑制(節約)を進めていくほかはない。ISO14001ではそのマネジメントシステムの最適…

№51 江戸時代はおもしろい(名将の下に弱卒なし)

戦国時代が終わって江戸時代になり泰平の世の中になっていった。余った戦費は消費に使われ元禄時代を産んでいったということだ。商売は繁盛し,江戸や大坂では商人が闊歩する。商人が闊歩する社会はなんだか自由でうれしいと思いませんか。」 赤福の教訓を勉…

№50 中小企業憲章

このブログの記事も50回となった。週5本のペースを続けるというのはかなり大変だ。 この節目では中小企業憲章について考えてみたい。 中小企業憲章は欧州小企業憲章の"think small first"に触発されて中小企業家同友会が提唱している考え方である。社会経済…

№49 大企業の役割・中小企業の役割(つきなみですが)

大企業は大量生産,大量販売によって利益を得る存在である。中小企業は市民の個別的利益を察知して利益を得る存在である。人は一つの要求だけでは生きていけない。トヨタがすごいからといって自動車だけで人が生活することはあり得ない。自動車がほしいのは…

№48 ある離婚話(細かいことを言う男は離婚される)

弁護士をやっているといろいろな事件に出会う。離婚事件など日常的に取り扱っている。その中で,ときどき名古屋のならではではないかと思われる離婚事件がある。それは,夫が家計を握り,夫が妻に対してやたらと細かく節約を言ってくる事例だ。 細かい男はど…

№47 欧州小企業憲章

欧州小企業憲章を読んでみた。原文は"EUROPEAN CHARTER FOR SMALL ENTERPRISES" となっており,"SMALL BUSINESS"とはなっていなかった。 "ENTERPRISES"には新しい試みであるとか,成功であるとか積極的な意味が込められている。 憲章は簡単な前文と6つの原則…

№46 義烏「中国小商品城」

中国浙江省中央部,義烏地域は「小商品市場」がある。「義烏」を頼りにインターネットで検索すると実に様々なサイトが義烏を紹介しており,そのいくつかを見るだけでその規模の大きさと,特異な経済発展の歴史をかいま見ることができる。NHKの街角アングルの…

№45 赤福事件の教訓 その7(行政の役割)

赤福は複雑な食品加工行政の犠牲者であるという意見もあるようだ。中日新聞の報道によると, 三重県伊勢保健所には1995年に食品衛生法に基づく商品表示が「製造年月日」から「期限表示」に切り替わった際、赤福より「製造してすぐに出荷するものと、冷凍した…

№44 赤福の教訓 その6(社長の教育)

コンプライアンスで重要なことはトップの決断と,トップの決断が会社全体に反映するシステムにあることは言うまでもない。企業コンプライアンス体制については大和銀行ニューヨーク支店損失事件が有名だ。これは米国債(米国財務省証券)を簿外取引により、11…

№43 赤福事件の教訓 その5(家訓)

赤福は「赤心慶福(せきしんけいふく)」に由来し,赤子のように素直な気持ちで、他人の福を自分の福のように喜ぶ心を表しているという。伝統ある商家には家訓があって,その内容は商売の心得を超えた人格形成の指針にもなっている。どのような組織理念も,…

№42 赤福事件の教訓 その4(家族的経営)

赤福事件は中小企業家にとって教訓の宝庫だ。中小企業家同友会としても赤福事件の教訓を引き出す作業を始めるべきだ。 平成20 年1 月31 日,株式会社赤福 コンプライアンス諮問委員会は報告書を会社に提示した。これは赤福のウェブからも手に入る。中小企業…

№41 赤福事件の教訓 その3(社員と共に育つ)

赤福の教訓は社員と理念を共有できなかったところにある。 中日新聞によると2007年1月26日にも消費期限の改ざんなどの通報が三重県伊勢保健所にあったことということだ。農水省や三重県に対する立入調査が9月19日であるからその8ヶ月以上前には通報があった…

№40 まんてんプロジェクト

まんてんプロジェクトは誇り高い中小企業の集まりである。 神奈川県,東京都の中小企業が国内航空・宇宙分野の部品などを調達することを目的に2003年9月にまんてんプロジェクトが発足した。異種業種が共同することで新たな分野を開拓しようと言う意欲的な試…

№39 赤福事件の教訓 その2(廃棄物問題)

ゴミであるものがある時突然商品になって,形式的処理だけで多額の利益がもたらされた。このような魔法のような利益があるときにはコンプライアンスからみて要注意である。 中日新聞のウェブサイトによると,赤福事件の概要は、①売れ残り製品をラベルをまき…

№38 赤福事件の教訓 その1

最近赤福餅事件に関心が向いている。赤福餅事件は中小企業における企業コンプライアンスのあり方について多くの問題を提起しているように思われる。企業は消費者に対し,ジャストインタイムの供給を追求する一方,生産コストや流通コストの無駄を省くことを…

№37 地域イノベーション

今読んでいる本はインキュベーション,イノベーション,クラスター,スピンオフ,とよく分からない言葉がキーワードになっている。「共同研究開発やスピンオフ研究者の人的交流を通じ,大学基礎研究と『暗黙知から暗黙知への共同化』によりプロダクトイノベ…

№36 中小企業法務指針 その2 所有と経営の分離

商法が改正されて会社法ができあがった。法人設立はほぼ完全に自由化され,株式会社は中小企業向けに組織設計ができるようになった。 中小企業の特徴は所有と経営とが未分離である点だ。社長は会社の全てを行わなければならない。会社は社長の考え,決断によ…

№35 中小企業法務指針 その1 戦略的法学

中小企業が直面する法律問題は様々あるが,中小企業法務としての独自分野があるとすれば,企業の自律性確保の手段としての法律という点があるだろう。どのような国であっても少数の大企業が存在する。中小企業の多くは大企業との取引に大きな比重がかかって…