名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

2008-07-01から1ヶ月間の記事一覧

№34 優秀な頭脳

「太公望」や「三顧の礼」を持ち出すまでもなく我々は優秀な頭脳にあこがれ,優秀な頭脳を持つ人材をほしいと思う。大学は優秀な頭脳を生み出す場として本来の役割が期待されている。 何が優秀かどうかは創造性にかかっている。弁護士の分野でもこの創造性の…

№33 起業家精神

起業と言えば,エンタープライズ(Enterprise)ということになるが,私にとってはエンタープライズはとてもよい響きを持つ言葉だ。カーク船長ひきいる宇宙船エンタープライズの活躍は実にかっこよかった。私もカーク船長のようになりたいなどと思ったものだ。…

№32 中小企業家同友会のDNA

中小企業家同友会は1957年4月に設立された日本中小企業家同友会が出発点である。当時中小企業政治連盟,全国中小企業協同組合なども設立されており,同友会はこれらの団体に対抗するかのように設立されたのである。 ところで,1957年の中小企業白書では経済…

№31 EU欧州連合と中小企業政策(三井逸友著)

EU欧州連合と中小企業政策を読んだ。1995年に著されたこの本は1080年代から1990年代にかけての欧州統合の分析を行っている。欧州の中小企業政策については三井先生意外の専門家は少ないのではないだろうか。この本は欧州の事情を紹介したものとして興味深い…

№30  サプライ「ズ」チェーン

1980年代から90年代にかけて,日本式経営は国際的な注目を浴びてた。ジャストインタイムであるとか,カンバン方式であるとか「カイゼン」であるとかトヨタの生産方式に世界が注目した。下請け,系列など大企業と中小企業のネットワークのあり方も日本式経営…

№29 EUにおける「日本的経営」

三井逸友先生の本によると、1982年ショーン・バーガーの「日本の製造技法:単純化における9つの隠れた教訓」という本がEU・米国でベストセラーになったそうだ。当時日本経済、日本企業に対する関心は急速に高まり、日本における大企業と中小企業との関係も注…

№27 いろいろあるぞ。環境マネジメント

今年の環境政策の最大の争点が地球温暖化問題である。北極圏でシロクマが餓死していく姿は本当に痛々しい。我が国においても猛暑や雪の減少,洪水や高潮など目に見える形で気候変動が進行していると実感している人も多いだろう。桜の咲く頃が早まっていたの…

№26 法律事務所経営と武家の商法

法律事務所は「武家の商法」であることが多い。弁護士は人の話を聞くことが商売であるが,中小企業の社長に比較すれば聞いているうちに入らないかもしれない。中小企業にあっては人の話を聞き,さらに積極的に自社の技術,製品を提案するところまで話を持っ…

№25 すごいぞ?トヨタ方式

我が家のトイレには「なぜトヨタは人を育てるのがうまいのか」という本が置いてあった。最近読み終え別の本に換わっている。ちょっと前までは「トヨタ式経営18の法則」があり,さらにその前は「サプライチェーン18の法則」が置いてあった。どれもトヨタの経…

№24 中小企業の地域力

中小企業白書はやはりおもしろい。最近は2007年中小企業白書第2部は「地域と共に成長する中小企業」という表題だ。白書は「地域に根付き住民のニーズを知悉した中小企業が発展し,独自性を生かしつつ地域経済を活性化することが重要である」としているが,こ…

№23 突然の取引拒絶

事業が継続している以上特定の企業と継続的な取引をしている例は多い。材料や商品を継続的に仕入れたり,あるいは商品を継続的に納入したりしている。商品の仕入れ,あるいは納入について一社に依存することは,依存先が何らかの理由で突然取引できなくなっ…

№22 弁護士とは何か。

最近は弁護士が主人公となるテレビドラマが多い。社会の弁護士に対する見方は多様だ。大企業の法務に従事し,大型M&Aや国際貿易の分野など多くのスタッフを抱えてスマートの活躍する弁護士,このタイプの弁護士の多くはお金持ちだ。私達はこうした弁護士…

№21 顧客名簿の管理

顧客名簿はたいていの事業にとって大切なデータであろう。顧客名簿は営業秘密の一つとして不正競争防止法などによって保護されている。しかし,いくら大切でもその管理が悪ければ法は保護しない。 平成11年9月14日大阪地裁の判例は会計事務所の顧客名簿を事…

№20 中小法務の具体例,例えば営業秘密,「マル秘」スタンプはダテではない。

中小企業は情報がとても大切である。中小企業は日々顧客と接し,様々な情報を得て商品や,営業のあり方を工夫する。市場との距離が近く,即座にニーズに対応してことで大企業にないよさを発揮する。しかし,情報管理がおろそかだと思わぬ被害を被ることがあ…

№19 法的正義と中小企業の持続的繁栄(その2)

このブログを始めて,そろそろ中小企業のための法務というのも見えてきた気がする。 (前回よりの続き) 2. 企業家として自覚のために もちろん,こうした中小企業の社会的弱点だけが中小企業法務の課題ではない。中小企業の特徴は社長個人と企業との分離が…

№18 法的正義と中小企業の持続的繁栄(その1)

このブログを始めて,そろそろ中小企業のための法務というのも見えてきた気がする。 1. 企業として使命感をもって生き抜くために 中小企業のための法務とは中小企業がいかなる巨大な相手とも対等な当事者として立ち向かうための法的根拠を与えるというところ…

№17 中小企業に役立つ法律,下請代金法

契約社会のたてまえは当事者間の対等独立だ。大企業相手でも,子供が相手でも契約の時はお互い対等独立の関係というのが建前である。子供がチョコレートをコンビニで買うときももちろんお店の人は一人のお客として扱わなければならない。子供だからと言って…

№16 戦え!中小企業

中小企業白書によると大企業を頂点とした系列的取引関係は徐々に変化し,中小企業の取引先も多様化しているという。系列的取引関係では中小企業が強い上下関係に置かれるため,受注量,単価,納期,品質は親会社の指示どおりとなり競争原理が働きにくい。競…

№15 企業の独立性と契約社会

どのような商売も契約なしには考えられない。契約社会の建前は互いに独立した当事者が自らの意思で契約に入ることを前提立っている。どのような大企業が相手であれ,それが自治体や国であれ,契約社会では対等,独立であることが建前である。それが自由主義…

№14 誰が商品価格を決めることができるか。

中小企業の自律性は商品価格が誰が決めているかによって判断できる。こうした視点から2007年版中小企業白書はちょっとは読んでもいいかもしれない。 前にも紹介したが,2007年版を買ったら,すぐに2008年版も買うことになってしまった。とりあえず,2007版か…

№13 意外とよかった中小企業白書

中小企業政策の本を読み始め,最近はそこに関心が集中している。中小企業白書というのも初めて購入してみた。2007年版を購入したと思ったら,すぐに2008年版が出てしまい,これも買うことになってしまった。 2007版,2008年版と比較してそれほど大きな経済事…

№12 たとえば湯布院,たとえばトマム

「中小企業政策」(黒岩直宏:日本経済評論社)に「双方向型の施策」が書かれている。少し長いが引用すると 「行政が中小企業の進むべき方向を示し,それに従う中小企業に経済的フェーバーを与えるという時代は終わった。政策は中小企業の草の根レベルの動き…

№11 中小企業家同友会設立前夜

1957年4月26日,日本中小企業家同友会が設立された。これはその後の12年間の運動と準備を経て,中小企業家同友会に発展していく。中小企業家同友会が設立するまで歴史は日本の経済発展のあり方を大きく決める時期であった。 1957年中小企業白書は日本経済を…

№10 今日の経済民主主義

黒瀬直宏先生の「中小企業政策」を読んだ。この本は中小企業家同友会の教科書のような本で,その内容は経済民主主義の理念に貫かれている。経済民主主義という言葉は戦後の新憲法下の下で誕生した。労働基本権が認められ,農地解放が行われた時代だ。財閥解…

№9 中小企業政策と戦後の歴史

中小企業政策を考える上では我が国戦後の経済史の検討は不可欠だ。特に,戦後間もない頃から昭和30年,その後の高度経済成長期はよきにつけ,悪しきにつけ我が国の中小企業政策が形成された時期となる。中小企業家の運動もこの時代に対する評価なしには考え…

№8 中小企業家にとって自由とは何か

中小企業の特徴は規模が小さいため社長の個性が事業活動に色濃く反映する点にある。実際の法律業務では会社の相談というよりは社長との相談といったほうが適切な場合が多い。中小企業音場合,企業経営そのものが社長個人の自己実現の過程と言ってよい。もち…